令和6年度 上期 第一種 学科試験 問31 解説 高圧受電設備の構成
問30から問34までは,下の図に関する問いである。 図は,自家用電気工作物(500kW未満)の高圧受電設備を表した図及び高圧架空引込線の見取図である。この図に関する各問いには,4通りの答え(イ,ロ,ハ,ニ)が書いてある。それぞれの問いに対して,答えを1つ選びなさい。 〔注〕図において,問いに直接関係のない部分等は,省略又は簡略化してある。
- イ ✓ 正答
- ロ
- ハ
- ニ
解説
この問題の問31では、図中の番号(1)が指し示す機器、すなわち高圧架空引込線の引込柱上に設置された「GR付PAS(高圧交流負荷開閉器)」の名称と機能を正確に把握しているかが問われます。
正解にたどり着くための判断基準は、その機器が「電柱の頂部付近(引込点)」にあり、かつ「地絡事故時に構内側を切り離すための保護装置である」という点です。
GR付PASの役割と配置
(1)の箇所にあるGR付PAS(Ground Relay attached Pole Air Switch)は、高圧受電設備の入り口に設置される重要な機器です。これは、構内で地絡事故が発生した際に、その事故電流を検知して自動的に回路を開放し、波及事故(電力会社側の配電線への影響)を未然に防ぐために設置されます。
多くの高圧受電設備において、この機器は電力会社から供給を受ける高圧架空引込線の終端、または引込柱の受電点付近に配置されます。問題図においても、電力会社側の配電線から構内へ引き込まれる直上の電柱に配置されており、その外観や配置条件から「GR付PASである」と特定することが可能です。
系統図と実機の対応関係
第一種電気工事士試験では、このような単線結線図上のシンボルと、実現場での配置をリンクさせることが求められます。
- 配置の確認:引込柱にあるか、キュービクル内にあるかを確認します。PASは屋外の引込柱にあり、LA(避雷器)やVCT(計器用変成器)はキュービクル内に収められることが多いという、一般的な構造上の特徴を覚えておくと迷いが少なくなります。
- 名称の照合:図には「GR付PAS」という表記が既に示されているケースが多いですが、(1)が何を指しているかを問う際には、その機能(地絡保護と負荷開閉)を思い出してください。
- 消去法:仮に名称が分からない場合でも、他の選択肢にある「断路器」や「遮断器」などの機能と比較します。断路器は負荷電流を開閉できませんし、遮断器は本来キュービクル内に設置されるものです。これらを一つずつ外していくことで、最も妥当な回答に絞り込むことができます。
実務における重要性
この知識は、単なる試験対策を超えて、実際の現場で受電設備の保守管理を行う際に直結します。
PASは定期的な点検が必要な保安機器です。また、近年では電力会社への波及事故防止が厳格化されているため、動作試験や絶縁抵抗測定などの重要性が高まっています。受電設備の設計図や竣工図を読み解く際、最も上流に位置するこの機器の配置場所を把握しておくことは、事故発生時の対応や、停電作業の計画を立てる上での第一歩となります。