令和4年度 第一種 筆記試験 午後 問43 解説 シーケンス制御接点
③で示す接点の役割は。
- イ. 押しボタンスイッチのチャタリング防止
- ロ. タイマの設定時間経過前に電動機が停止しないためのインタロック
- ハ. 電磁接触器の自己保持 ✓ 正答
- ニ. 押しボタンスイッチの故障防止
解説
自己保持回路を見抜くポイント
シーケンス図において、押しボタンスイッチと並列に接続された電磁接触器(MC)のa接点(常開接点)は、回路を維持するための自己保持接点です。設問の回路でボタンを離した後も動作が継続する仕組みであれば、それが自己保持回路であると判断できます。
自己保持接点の仕組み
電磁接触器のコイルに電流が流れると、その磁力によって主回路の接点だけでなく、補助接点も同時に閉じます。この補助接点をコイルへの電源供給回路(操作回路)の中に並列に組み込むことで、押しボタンスイッチがオフに戻った後も、コイルに流れる電流の通り道を確保し続けます。これにより、一度ボタンを押すだけで回路の動作状態が継続(保持)される仕組みです。
動作を追うための論理的プロセス
この問題を解くためには、電流の流れを時間軸で考える必要があります。
- 押しボタンを押す:コイルに電流が流れ、電磁接触器が励磁されます。
- 接点が閉じる:同時に補助接点も閉じます。
- 押しボタンを離す:本来であれば電流が途切れますが、手順2で閉じた補助接点を通ってコイルへ電流が供給され続けます。
この一連の流れがあるからこそ、この接点は「自己保持」の役割を果たしていると断定できます。他の選択肢である「チャタリング防止」はコンデンサ等の電子回路的な手法が一般的であり、「インタロック」は別の接点と直列に配置して同時動作を禁止する役割であるため、構造上の違いから明確に除外できます。
現場で求められる知識の意義
この自己保持回路は、工場やビルの自動制御において最も基礎的かつ頻繁に用いられる技術です。例えば、モータを始動させる際にずっとボタンを押し続けることは不可能なため、一度の操作で連続運転を可能にするこの構成は必須です。
試験では単なる記号の暗記ではなく、シーケンス図の中に流れる「電流の通り道」をイメージできるかどうかが問われています。この構造を理解しておくと、トラブルシューティングの際、「ボタンを押しても動作し続けるか」「どこで電流が途切れているか」を切り分けるための重要な手がかりになります。