令和4年度 第一種 筆記試験 午後 問39 解説 電気用品安全法
「電気工事士法」及び「電気用品安全法」 において,正しいものは。
- 電気用品のうち,危険及び障害の発生するおそれが少ないものは,特定電気用品である。
- 特定電気用品には,(PS)Eと表示されているものがある。
- 第一種電気工事士は,「電気用品安全法」に基づいた表示のある電気用品でなければ,一般電気工作物の工事に使用してはならない。 ✓ 正答
- 定格電圧が600 Vのゴム絶縁電線(公称断面積22mm²)は,特定電気用品ではない。
解説
この問題は、電気工事士が法的に扱うべき材料や機器の基準(電気用品安全法)に関する知識を問うものです。正解であるハを導くには、「電気工事士は電気用品安全法の表示があるものを使わなければならない」という大原則を知っておくことが唯一の判断基準となります。
電気用品安全法の表示義務と電気工事士の責任
電気用品安全法では、電気用品を以下の2種類に分類し、安全基準の適合性検査を課しています。
・特定電気用品:構造、使用方法その他の使用状況からみて危険又は障害の発生するおそれが高いもの(例:電線、配線器具、変圧器など)。ひし形のPSEマークが表示されます。 ・特定電気用品以外の電気用品:上記以外のもの。丸形のPSEマークが表示されます。
電気工事士法においては、電気工事を行う際に使用する材料は、電気用品安全法に適合した表示(PSEマーク)があるものを使用しなければならないと定められています。これは、電気工事士が自らの技術で施工する際、その材料自体が粗悪品であれば、どれだけ完璧な施工をしても火災や感電のリスクを排除できないためです。したがって、工事現場で使用する電線やスイッチ、コンセント類を購入する際は、必ずPSEマークの有無を確認することが義務となっています。
各選択肢の誤りと正しい知識の整理
イの選択肢が誤りである理由は、特定電気用品の定義が逆だからです。危険や障害のおそれが多いものが特定電気用品であり、少ないものは「特定電気用品以外の電気用品」に分類されます。
ロの選択肢が誤りである理由は、PSEマークの形式です。特定電気用品には「ひし形」のPSEマークが、それ以外には「丸形」のPSEマークが表示されます。(PS)Eという表記は、電気用品安全法に基づく表示として一定のルールがありますが、特定電気用品を指す記号としては不正確です。
ニの選択肢が誤りである理由は、電線の区分です。600Vビニル絶縁電線やゴム絶縁電線などは、私たちの電気工事において最も身近な材料ですが、これらは構造上、特定電気用品に該当します。したがって、「特定電気用品ではない」という記述は間違いです。
なぜこの知識が重要なのか
実務において、この知識は「材料選定の最低ライン」として機能します。例えば、安価な海外製の電線や配線器具をインターネットで個人輸入して工事に使用しようとした際、その製品にPSEマークがなければ、たとえ定格性能を満たしているように見えても、電気工事士法違反となります。
電気工事士は、自身の施工に対して「電気設備技術基準」への適合を証明する立場にあります。その根幹となるのが使用する材料の安全性です。試験においてこの問題が出題される意図は、単なる法令の暗記ではなく、工事士としての「材料選定に対する責任感」を問うことにあります。法的に適合した安全な材料を選ぶことこそが、事故を防ぐ最初のステップであり、プロフェッショナルとしての第一歩です。