令和4年度 第一種 筆記試験 午後 問10 解説 誘導電動機の周波数
6 極の三相かご形誘導電動機があり, その 一次周波数がインバータで調整できるように なっている。 この電動機が滑り 5 %, 回転速度 1140 min^-1 で運転されている場合の一次周波数 [Hz] は。
- イ. 30
- ロ. 40
- ハ. 50
- ニ. 60 ✓ 正答
解説
この問題は、誘導電動機の回転速度の公式に、与えられた数値を当てはめて周波数 について解くことで答えが導けます。手順は以下の通りです。
- 回転速度の式 を用意する。
- 与えられた値 、 、 を代入する。
- 式を整理し となるため、 を求める。
誘導電動機の回転数と滑りの関係
三相誘導電動機において、同期速度 とは磁界の回転速度のことであり、以下の式で決まります。 ここで、 は一次周波数(電源周波数)、 は極数です。しかし、実際の電動機は回転子に電流を流すために、磁界よりもわずかに遅れて回転します。この速度差を滑り と呼びます。実際の回転速度 は、同期速度から滑り分を差し引いた値となります。
この式は、電動機の制御における最も基本的な関係式です。第一種電気工事士試験では、この公式を自在に変形して、周波数、極数、滑り、回転数のいずれか未知の値を求める問題が頻出します。
数値から解を導く思考のステップ
問題文から情報を整理すると、求めるべき変数は周波数 です。
まず、 の式を について解く形に整理します。
次に、数値を代入します。 であるため、
分母の と分子の を約分すると になります。 を計算すると となります。
計算のコツとして、はじめに という定数を算出してから、 というシンプルな一次方程式の形に持ち込むと、計算ミスを防ぎやすくなります。
インバータ制御と現場での意義
この問題で設定されている「インバータで周波数を調整できる」という条件は、現代の産業現場において極めて重要な概念です。インバータは電動機への供給周波数 を自在に変えることで、同期速度 を直接制御し、電動機の回転速度を効率的に変えることができます。
従来の商用周波数(50Hzや60Hz)で直接運転する場合、回転速度は極数で決まる固定値しか選べませんでしたが、インバータを用いることで、ファンやポンプの流量調整を回転数の制御で行えるようになり、大幅な省エネが可能になりました。試験問題としては数式を解く作業ですが、この数式は「なぜインバータが回転数を変えられるのか」という工学的な根拠そのものです。現場でインバータの設定値や動作を確認する際、この関係式を理解していることは、トラブルシューティングを行う上で不可欠な素養となります。