令和4年度 第一種 筆記試験 午後 問9 解説 高圧進相コンデンサ
図のような直列リアクトルを設けた高圧進相 コンデンサがある。電源電圧が V [V], 誘導 性リアクタンスが 9 Ω, 容量性リアクタンス が 150 Ωであるとき, この回路の無効電力(設 備容量) [var] を示す式は。
- イ. V^2/159^2
- ロ. V^2/141^2
- ハ. V^2/159
- ニ. V^2/141 ✓ 正答
解説
直列リアクトルとコンデンサが直列に接続された回路において、全体の合成リアクタンスを求め、その値を用いて無効電力を計算します。手順は以下の通りです。
- 合成リアクタンス を求める。
- 無効電力の式 に当てはめ、 を導く。
リアクタンスの打ち消し合い
交流回路において、インダクタンスによる誘導性リアクタンス と、キャパシタンスによる容量性リアクタンス は、位相を180度ずらす働きがあります。このため、直列回路ではこれらが互いに打ち消し合います。
合成リアクタンス は、一般的に または として計算されます。高圧進相コンデンサには、コンデンサに流れる高調波電流の抑制や、投入時の突入電流を制限する目的で直列リアクトルを接続します。このとき、コンデンサの容量性リアクタンスの方が圧倒的に大きいため、合成後の回路全体は容量性(進相)の性質を維持します。そのため、合成リアクタンス は から を差し引いた となります。
無効電力の計算構造
無効電力 を求める公式にはいくつか形がありますが、リアクタンス と電圧 が与えられている場合、 が最も直接的です。これは抵抗における消費電力の式 と構造が同じであり、エネルギーを消費せず、往復させるだけの「無効」な成分をリアクタンスという「枠」で表現していると考えれば理解しやすくなります。
この問題では、 は相電圧か線間電圧かという議論が浮かぶかもしれませんが、与えられた選択肢の形式と問題の意図から、回路全体のインピーダンスを として扱い、その端子にかかる電圧を としたときの式として整理されています。
直列リアクトル挿入の重要性
この知識は、実務における進相コンデンサの保護と系統の安定化に直結します。なぜリアクトルを入れるのかといえば、主に第5調波による共振現象を防ぐためです。
コンデンサは周波数が高くなるとリアクタンスが小さくなる性質があるため、高調波電流を吸い込みやすくなります。そこに直列リアクトルを配置することで、第5調波(250Hz)に対して誘導性と容量性が打ち消し合い、共振して電流が過大になるのを防いでいます。第一種電気工事士の現場では、コンデンサの設備容量を選ぶ際に、この合成リアクタンスの変化を考慮しなければ、過電流によるコンデンサの焼損やトリップを引き起こす可能性があるため、この計算は必須の教養といえます。