令和3年度 上期 筆記試験 問28 解説 防爆電気設備の施工
可燃性ガスが存在する場所に低圧屋内電気 設備を施設する施工方法として,不適切なも のは。
- イ. スイッチ,コンセントは,電気機械器具防爆構造規格に適合するものを 使用した。
- ロ. 可搬形機器の移動電線には,接続点のない3種クロロプレンキャブタイ ヤケーブルを使用した。
- ハ. 金属管工事により施工し,厚鋼電線管を使用した。
- ニ. 金属管工事により施工し,電動機の端子箱との可とう性を必要とする 接続部に金属製可とう電線管を使用した。 ✓ 正答
解説
可燃性ガスが存在する危険な場所では、万が一の爆発を防ぐため、配線工事にも非常に厳しい制約が課せられます。この問題は、原則として金属管工事などの強固な方法が求められる中で、なぜ金属製可とう電線管が不適切とされるのかを問うています。
防爆電気設備と配線工事の基本原則
可燃性ガスが発生・滞留する場所での電気設備工事は、電気設備技術基準の解釈第295条や、労働安全衛生法に基づく防爆構造規格が重要となります。
ここでの鉄則は、内部で火花が発生しても、その熱や火花を外部の可燃性ガスに伝えないことです。そのため、配線工事には以下の条件が求められます。
- 電気的な防護だけでなく、物理的な損傷や腐食に対する高い耐久性があること。
- 配線自体が火花源にならないよう、接合部が密閉されていること。
- 可燃性ガスが管内に浸入するのを防ぐ構造であること。
これらを満たす代表的な工事方法が「金属管工事(厚鋼電線管)」です。厚鋼電線管は肉厚で堅牢であり、ねじ切り接続を行うことで高い気密性と強度を確保できます。
なぜ金属製可とう電線管がNGなのか
選択肢ニの「金属製可とう電線管」は、振動する機械の接続部など、柔軟性が必要な場面で非常に便利な材料です。しかし、一般的な金属製可とう電線管は構造上、内部の気密を完全に保持することが難しく、可燃性ガスが管内に侵入したり、内部で生じた火花が隙間から漏れ出すリスクがあります。
この問題の意図は、「柔軟性が必要だから」という理由だけで不用意に可とう電線管を使ってはいけないという教訓です。もし、防爆構造の場所で可とう性が必要な場合は、防爆性能が認められた特定の器具や、専用の防爆型フレキシブル継手を使用しなければなりません。単に「金属製可とう電線管」とあるだけでは、それらが防爆性能を満たしているか不明確であり、施工上の不備と判断されます。
実務現場における安全性と判断基準
この知識は、石油化学プラントやガソリンスタンド、あるいは工場内の塗装ブースなど、引火性のある環境での電気設計・施工において極めて重要です。
実際の現場では、施工者が「接続部だから柔軟性が欲しい」と判断して可とう電線管を選んだとしても、それが防爆エリア内であれば、設計図書を確認し、防爆性能を有する指定の部材かを確認する必要があります。試験では、金属管工事の堅牢性を強調しつつ、可とう性のために安易に一般部材を用いることの危険性を理解しておくことが、合格への鍵となります。