令和3年度 上期 筆記試験 問20 解説 遮断容量の計算
公称電圧 6.6 kV の高圧受電設備に使用する 高圧交流遮断器(定格電圧 7.2 kV,定格遮断電流 12.5 kA,定格電流 600 A)の遮断容量[MV・A] は。
- イ. 80
- ロ. 100
- ハ. 130
- ニ. 160 ✓ 正答
解説
遮断容量 [MV・A] は、定格電圧 [kV] と定格遮断電流 [kA] を用いて、次の公式で算出します。
本問の数値 [kV]、 [kA] を代入すると、 となり、最も近い 160 [MV・A] が正解となります。
遮断容量の算出式が意味するもの
電気設備における遮断容量とは、遮断器が事故電流を安全に遮断できる最大の能力を表す数値です。ここで用いられる という式は、三相交流回路における皮相電力(容量)の計算式そのものです。
遮断器が短絡事故などを切り離す瞬間、遮断器の接点間には定格電圧に近い電圧がかかり、そこへ大きな遮断電流が流れます。このときの「電圧と電流の積(=仕事をする能力の限界)」が遮断容量です。定格電圧の数値として使用する 7.2 kV は、公称電圧 6.6 kV の回路で使用できる機器としての定格電圧(最高電圧)である点に注意が必要です。
計算における思考のステップ
試験問題でこの項目を解く際は、以下の手順を意識してください。
- 式の特定:遮断容量を問われたら「ルート3かける電圧かける電流」を想起する。
- 単位の確認:電圧の単位が kV、電流の単位が kA であることを確認する。これらが公式の前提条件であり、計算結果が MV・A(メガボルトアンペア)としてそのまま得られます。単位変換が不要であるため、ミスを防ぐ重要なポイントです。
- 数値の選定:回路の公称電圧(6.6 kV)ではなく、必ず機器の定格電圧(7.2 kV)を用いて計算します。遮断器は、回路電圧よりも高い定格電圧を持つ機器でなければならないという、電気設備の設計上の基本ルールに基づいています。
現場での設計と選定の意味
この問題は、単なる計算練習ではなく、実務における「遮断器の選定」というプロセスを理解しているかを確認しています。
受電設備の設計において、遮断器の遮断容量は、その設備に流入する可能性のある最大の短絡電流よりも大きな値を選定しなければなりません。もし遮断容量が不足している遮断器を使用すると、短絡事故が発生した際に遮断器がアークを消しきれず、焼損や爆発といった重大な事故につながる恐れがあるからです。
実務では、短絡容量計算によって系統の事故電流を算出し、それに基づき、適切な定格電流や遮断容量を備えた遮断器を選択します。試験ではその逆の計算を行っていますが、「どの電圧と電流を使って安全性の限界(容量)を算出するか」という考え方は、保安の現場でも常に求められる判断力です。