第一種電気工事士試験 / 令和3年度 上期 筆記試験 / 問19
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令和3年度 上期 筆記試験 問19 解説 高調波の性質

高調波に関する記述として,誤っている ものは。

  1. イ. 電力系統の電圧,電流に含まれる高調波は,第5次,第7次などの 比較的周波数の低い成分が大半である。
  2. ロ. インバータは高調波の発生源にならない。 ✓ 正答
  3. ハ. 高圧進相コンデンサには高調波対策として,直列リアクトルを設置す ることが望ましい。
  4. ニ. 高調波は,電動機に過熱などの影響を与えることがある。

解説

この問題は、電気回路における「非線形負荷」の知識を問う内容です。インバータなどのパワーエレクトロニクス機器が、電気の質を乱す「高調波発生源」であることを知っていれば、一瞬で誤りを見抜くことができます。

非線形負荷とは何か

一般的な抵抗器やヒーターのような負荷は、電圧に対して電流が比例して流れる「線形負荷」です。これに対して、ダイオードやトランジスタを用いた電力変換装置(インバータや整流器)は、電圧と電流の関係が比例関係になりません。これを「非線形負荷」と呼びます。

非線形負荷に電圧を加えると、その入力電流はきれいな正弦波(サイン波)にならず、ひずんだ波形になります。フーリエ解析という数学的手法を用いると、このひずんだ波形は、基本波(商用周波数の50Hzや60Hz)に加えて、その整数倍の周波数成分である「高調波」が混ざり合って構成されていることが分かります。インバータはまさにこの高調波を大量に吐き出す発生源の代表格です。

高調波が引き起こす悪影響

高調波は、電力系統において以下のようなトラブルを引き起こすため、対策が必要です。

・電動機への影響:電動機の内部で過大な渦電流損失が発生し、異常発熱や振動、異音を招きます。 ・コンデンサへの影響:高圧進相コンデンサと系統のインダクタンス成分が共振し、過大な電流が流れてコンデンサの焼損に至ることがあります。これを防ぐために直列リアクトル(第5次高調波に対して有効な6%リアクトルなど)を設置するのが定石です。 ・通信線への誘導障害:周波数の高い電流は通信線に電磁誘導を起こし、ノイズを発生させます。

試験対策としての考え方

第一種電気工事士試験において「高調波」が問われる場合、以下の3点をセットで覚えておくと得点源になります。

  1. 発生源:インバータ、整流器、アーク炉、放電灯などの非線形負荷。
  2. 特徴:周波数が低いもの(第5次、第7次など)が支配的。
  3. 対策:高圧進相コンデンサには直列リアクトルを挿入し、共振を防止する。

この問題の選択肢ロは、インバータを「高調波の発生源ではない」としているため、明らかに誤りです。実務の現場では、インバータ制御のポンプやファンを導入する際、高調波による周囲機器への影響を考慮してリアクトル選定を行う必要があるため、この知識は非常に実践的なものといえます。

参考リンク

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