令和3年度 上期 筆記試験 問6 解説 配電方式の供給電力
図aのような単相3線式電路と, 図bのよ うな単相2線式電路がある。図aの電線1線 当たりの供給電力は, 図bの電線1線当たり の供給電力の何倍か。 ただし, Rは定格電圧V [V] の抵抗負荷で あるとする。
- イ. 1/3
- ロ. 1/2
- ハ. 4/3 ✓ 正答
- ニ. 5/3
解説
この問題は、それぞれの回路構成における「電線1本あたりの供給能力」を比較するものです。以下の手順で計算します。
- 図a(単相3線式)の全電力を求め、本数(3本)で割る。
- 図b(単相2線式)の全電力を求め、本数(2本)で割る。
- 図aの結果を図bの結果で割り、倍率を求める。
供給電力の比較計算
まず、図aの単相3線式を考えます。図から、抵抗負荷が2つあり、それぞれに電圧 がかかっています。1つの負荷の消費電力は となり、これが2つあるため、回路全体の電力は です。電線は3本使われているため、電線1本当たりの電力 は以下のようになります。
次に、図bの単相2線式を考えます。抵抗負荷は1つで、電圧 がかかっています。回路全体の電力は となり、電線は2本使われているため、電線1本当たりの電力 は以下のようになります。
最後に、これらを使って倍率を求めます。
したがって、図aの電線1本当たりの供給電力は、図bの 倍となります。
単相3線式が持つ送電効率の優位性
この問題が問うているのは、単に計算の結果だけではなく「送電効率の良し悪し」を比較する視点です。単相3線式は、電圧の低い機器(100V)だけでなく、高い電圧(200V)を負荷の両端から取り出すことができるため、送電効率が非常に高いという特徴があります。
今回の比較で分かるとおり、同じ電流容量の電線を使った場合、単相3線式の方がより多くの電力を供給できます。このため、日本の一般家庭における引き込み線として、標準的に単相3線式が採用されているのです。
配電方式の理解が実務に直結する理由
第一種電気工事士試験において、この種の「比較問題」は、設計や施工におけるコスト意識を養うために出題されます。
現場では「最小のコスト(電線量や設備)で、いかに最大の電力を安全に送るか」という最適解が常に求められます。単相2線式は単純な構成ですが、大きな電力を送ろうとすると電線が太くなり、電圧降下も激しくなります。一方、単相3線式は銅線量を節約しつつ効率的に電力を送る手法として、ビルや住宅の設計において不可欠な知識です。
計算式だけを追うのではなく、「なぜ世の中の多くの建物で単相3線式が選ばれているのか」という背景を理解することで、試験本番で少しひねられた出題があっても、概念的に正しい答えを導き出せるようになります。