令和3年度 下期 学科試験 問30 解説 高圧受電設備の機器構成
問30から問34までは,下の図に関する問いである。 図は,自家用電気工作物内の高圧受電設備を表した図である。 この図に関する各問いには,4通りの答え(イ,ロ,ハ,ニ)が書いてある。それぞれの問いに対して,答えを1つ選びなさい。 〔注〕図において,問いに直接関係のない部分等は,省略又は簡略化してある。
- イ
- ロ ✓ 正答
- ハ
- ニ
解説
この問題の正解は、図中の番号1が「高圧カットアウト」であることを特定することで導き出せます。高圧受電設備の図面を読み解く際は、電柱から建物へとつながる電流の経路と、それぞれの位置に配置された保護・計測機器のシンボルをセットで暗記しておくことが重要です。
図記号と機器の役割を紐解く
第一種電気工事士試験における受電設備の問題では、現場で見かける機器が「単線結線図」や「配置図」でどう表現されるかを理解することが求められます。
番号1で示されている機器は、電柱上に設置され、高圧ケーブルの引込口付近で分岐や保護の役割を果たしています。この形状と設置位置から、これは高圧カットアウト(PC:Power Cutout)であると判断できます。高圧カットアウトは、過電流発生時にヒューズが溶断して回路を切り離す保護装置であり、開放時にはヒューズ筒を外して回路を目視確認できるのが特徴です。
他の番号の機器についても併せて整理しましょう。
- 番号2:高圧引込ケーブル。電柱上のPAS(高圧交流負荷開閉器)から建物内へ電力線を引き込むためのケーブルです。
- 番号3:高圧交流負荷開閉器(LBS)。受電盤の前面等に設置され、負荷電流の開閉を行います。
- 番号4:高圧配電盤。受電設備全体を収納するキュービクルや盤筐体を指します。
- 番号5:変圧器(トランス)。高圧を低圧(200V/100V等)に降圧し、建物内の負荷へ電力を供給します。
受電設備全体像の把握プロセス
試験でこうした配置図を見たとき、まずは「受電点(電柱)」から「受電盤(キュービクル)」に至る電気の通り道を指でなぞるように確認してください。
- 電柱側: 電力会社からの供給を受ける側。ここには保護装置であるPAS(GR付)や、引き込みのための接続部があります。
- 接続点: 引込ケーブルが建物に入るまでの経路。埋設管など通過する場所もチェック対象になります。
- 受電盤側: 建物内に導入された電力が、遮断器や負荷開閉器を経由し、変圧器で降圧されるまでのプロセスを確認します。
この流れを把握することで、個々の部品が「保護用なのか」「開閉用なのか」「変圧用なのか」という役割分担が明確になります。
実務現場における配置図の重要性
この知識は、実際の現場で「受電設備の点検」や「設計」を行う際の基礎となります。たとえば、高圧カットアウトに不具合が生じた際、図面上でどこにあるか、どのような仕様のヒューズを用いるべきかを瞬時に判断できないと、停電復旧の作業手順を誤るリスクがあります。
また、電気設備技術基準において、受電側の遮断装置の設置は非常に厳格に定められています。なぜその位置にその機器が必要なのか(例:短絡事故時に上流の系統への影響を最小限にするため等)を理解しておくことは、資格取得後の保安業務においても極めて重要な視点です。試験問題は、単なる暗記ではなく、こうした「なぜそこにあるのか」という設計思想を問うています。