令和3年度 下期 学科試験 問25 解説 接地極の不適切材料
地中に埋設又は打ち込みをする接地極とし て,不適切なものは。
- イ. 縦 900 mm × 横 900 mm × 厚さ 2.6 mm のアルミ板 ✓ 正答
- ロ. 縦 900 mm × 横 900 mm × 厚さ 1.6 mm の銅板
- ハ. 直径 14 mm 長さ 1.5 m の銅溶覆鋼棒
- ニ. 内径 36 mm 長さ 1.5 m の厚鋼電線管
解説
接地極として認められる材料と寸法は、電気設備に関する技術基準を定める省令およびその解釈によって細かく規定されています。この問題は、規定されている「材質」と「サイズ」の両面から不適切なものを見抜く力が必要です。
接地極に求められる材料と寸法規定
接地極は長期間にわたり地中に埋設されるため、腐食に強く、かつ十分な接地抵抗値を得られる材質・形状である必要があります。試験で頻出する主要な接地極の基準は以下の通りです。
・銅板:厚さ0.7mm以上、面積0.2平方メートル以上 ・鋼棒(銅被覆含む):直径14mm以上、長さ0.9m以上 ・管(厚鋼電線管など):内径25mm以上、長さ0.9m以上
問題の選択肢をこの基準に照らし合わせると、アルミ板についてはそもそも接地極としての使用が認められていません。アルミは銅や鉄に比べて電食(電気的な腐食)を起こしやすく、接地極としての耐久性が確保できないため、技術基準では認められていないのです。
判断のプロセス
本問を解く際は、まず「アルミ」という材質に注目します。接地極として認められているのは主に銅や鉄系の材料であり、アルミは例外なく誤りであると判断できます。
次に、各選択肢の寸法をチェックします。
・イのアルミ板:材質が規定外であるため不適切。 ・ロの銅板:厚さ1.6mm(規定の0.7mm以上を満たす)、サイズも900mm×900mmで面積0.81平方メートル(規定の0.2平方メートル以上を満たす)のため適切。 ・ハの銅被覆鋼棒:直径14mm(規定の14mm以上を満たす)、長さ1.5m(規定の0.9m以上を満たす)のため適切。 ・ニの厚鋼電線管:内径36mm(規定の25mm以上を満たす)、長さ1.5m(規定の0.9m以上を満たす)のため適切。
このように、数値が基準を満たしているかを順番に確認していくことで、消去法でも確実に正解を導き出せます。
接地工事の安全性を支える知識の役割
この問題の意図は、単なる暗記の確認にとどまりません。現場において接地極を設置する際、手元にある材料で適正な接地抵抗値が得られるか、あるいはその材料が長期間の埋設に耐えうるものかを判断する実務能力を問うています。
もし、基準に適合しない材料や細すぎる電線管を使用して接地工事を行うと、腐食による断線や接地抵抗の増大を招き、漏電発生時に保護装置が正しく動作しない危険性があります。第一種電気工事士は、設計図面や仕様書の指示を正しく理解し、万が一の際に機器や人体を確実に保護できる「信頼性の高い接地システム」を構築することが求められます。このような材料の規格を知ることは、電気保安の根幹を守るための第一歩といえます。