第一種電気工事士試験 / 令和3年度 下期 学科試験 / 問5
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令和3年度 下期 学科試験 問5 解説 三相交流回路の電流

設問図

図のような三相交流回路において,線電流 I の値 [A] は。

  1. イ. 5.8
  2. ロ. 10.0
  3. ハ. 17.3 ✓ 正答
  4. ニ. 20.0

解説

この問題は、以下の3ステップで解くことができます。

  1. デルタ結線された負荷の「1辺あたりのインピーダンス」を求める
  2. オームの法則を用いて「相電流」を求める
  3. デルタ結線の関係式を用いて「線電流」を求める

具体的な計算手順は以下の通りです。

  1. 各辺のインピーダンスは、抵抗 12[Ω]12[\Omega] とリアクタンス 16[Ω]16[\Omega] が直列に接続されているため、インピーダンス ZZ は、Z=122+162=144+256=400=20[Ω]Z = \sqrt{12^2 + 16^2} = \sqrt{144 + 256} = \sqrt{400} = 20[\Omega] となります。
  2. デルタ結線では、線間電圧がそのまま相電圧として負荷にかかります。したがって、相電流 IpI_p は、Ip=V/Z=200/20=10[A]I_p = V / Z = 200 / 20 = 10[\text{A}] となります。
  3. デルタ結線において、線電流 II は相電流 IpI_p3\sqrt{3} 倍です。よって、I=3×101.732×10=17.32[A]I = \sqrt{3} \times 10 \approx 1.732 \times 10 = 17.32[\text{A}] となります。

デルタ結線における電圧と電流の基本ルール

三相交流回路の計算では、結線方法によって「電圧」と「電流」の関係が変わる点を押さえることが重要です。

デルタ(Δ\Delta)結線では、負荷の各相が線間電圧 VV に直接つながっているため、相電圧 VpV_p は線間電圧 VV と等しくなります(Vp=VV_p = V)。一方で、線電流 II は、相電流 IpI_p が分岐点から合成された形になるため、ベクトル和の結果として 3\sqrt{3} 倍の大きさになります。この「電圧は等しく、電流は 3\sqrt{3} 倍」という関係は、この回路を解析する際の最も基本的な前提条件です。

負荷の合成とベクトル計算のプロセス

本問では、単なる抵抗値の計算ではなく、インピーダンスの計算が含まれている点がポイントです。抵抗成分 R=12[Ω]R = 12[\Omega] とリアクタンス成分 X=16[Ω]X = 16[\Omega] が直列の場合、単純に和をとるのではなく、ベクトル的に合成する必要があります。これは RRXX の位相が 90 度ずれているためで、直角三角形の斜辺を求めるピタゴラスの定理(三平方の定理)を用いるのが定石です。

この回路図を読み解く際は、まず「3つの負荷の塊がデルタ状につながっている」と認識し、1辺あたりのインピーダンスを算出した後、最終的に全体に流れる線電流へと視点を広げるという「部分から全体へ」のアプローチをとると混乱がありません。

実務と教育的意図

この問題は、実際の現場で電動機や電気炉などの三相負荷を扱う際に不可欠な知識を問うています。配線の太さを選定したり、ブレーカーの定格を決定したりするためには、線電流の正確な値を求める必要があります。

電気工事士試験でこの問題が出題される意図は、単に数値を計算させるだけでなく、「負荷のインピーダンス」「相電流と線電流の変換」「ベクトル計算」という、三相交流回路解析における3つの重要要素を統合的に理解しているかを確認することにあります。この基礎能力は、将来的に複雑な電力設備を設計・保守する際の土台となります。

参考リンク

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