令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 問17 解説 タービン発電機
タービン発電機の記述として,誤っている ものは。
- イ. タービン発電機は,駆動力として蒸気圧などを利用している。
- ロ. タービン発電機は,水車発電機に比べて回転速度が大きい。
- ハ. 回転子は,非突極回転界磁形(円筒回転界磁形)が用いられる。
- ニ. 回転子は,一般に縦軸形が採用される。 ✓ 正答
解説
この問題は、タービン発電機と水車発電機の構造上の違いを比較することで瞬時に解くことができます。タービン発電機は高速回転に対応するため「横軸・円筒形」が基本であり、「縦軸」を採用しているのは低速で重い回転体を支える水車発電機である、という対比構造を覚えておけば誤りを選択できます。
タービン発電機と水車発電機の構造的な違い
発電機はその動力を得る原動機の特性に合わせて設計されます。火力発電や原子力発電で用いられるタービン発電機は、高速で回転する蒸気タービンを原動機とするため、遠心力に耐える頑丈な構造が求められます。
一方、水車発電機は比較的ゆっくりとした回転速度で、巨大な羽根(水車)を回します。この回転軸の向きや回転子の形状には決定的な違いがあります。
高速回転を支える円筒回転子と横軸配置
タービン発電機において、回転子に非突極形(円筒形)が採用される理由は、高速回転に伴う強大な遠心力にあります。回転子がデコボコした突極形だと、回転時に不均衡な力や風損が発生し、機械的な強度が不足します。滑らかな円筒形にすることで、軸の振動を抑えつつ安定した高速回転が可能になります。
また、タービン発電機は一般的に横軸形を採用しています。これは、タービンと発電機を同じ軸上に繋ぐ構成上、設置面積の効率やメンテナンス性を考慮した結果です。これに対し、重い水車と発電機を垂直に設置して安定性を確保する「縦軸形」は、主に水力発電所で採用される構造です。
試験問題が問う「形式」の知識
試験においてこの問題が出題される意図は、発電機の構造を「回転速度」という物理的要因と結びつけて理解しているかを問う点にあります。
高速回転するものは遠心力に強く、構造がシンプル(円筒形・横軸)である必要がある。逆に低速回転のものは、巨大なトルクを扱い安定性を重視する(縦軸形)という分類は、電気機器全般の設計思想に通じます。現場での点検や設置レイアウトを考える際にも、その発電機がどのような環境で回るために設計されているのかを判断する基礎となります。