第一種電気工事士試験 / 令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 / 問16
certification-simodake-work

令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 問16 解説 揚水発電の計算

全揚程 200 m,揚水流量が 150 m³/s である 揚水式発電所の揚水ポンプの電動機の入力 [MW]は。 ただし,電動機の効率を 0.9,ポンプの効率 を 0.85 とする。

  1. イ. 23
  2. ロ. 39
  3. ハ. 225
  4. ニ. 384 ✓ 正答

解説

揚水発電におけるポンプの入力は、理論的な仕事率をポンプと電動機の効率で割り戻すことで算出します。計算式は P=9.8×Q×Hηp×ηmP = \frac{9.8 \times Q \times H}{\eta_p \times \eta_m} であり、これに各数値を当てはめて算出します。

揚水ポンプの入力算出式を読み解く

この問題で用いる P=9.8×Q×Hηp×ηmP = \frac{9.8 \times Q \times H}{\eta_p \times \eta_m} という式は、エネルギー変換の過程を示しています。分子の 9.8×Q×H9.8 \times Q \times H は、水を一定の高さまで持ち上げるために最低限必要な物理的仕事率(理論出力)です。ここで 9.89.8 は重力加速度 [m/s2][m/s^2]QQ は流量 [m3/s][m^3/s]HH は全揚程 [m][m] を表します。

しかし、実際の機械では損失が発生します。ポンプが水を汲み上げる際に失われるエネルギー(ポンプ効率 ηp\eta_p)と、電気を機械的エネルギーに変換する際に失われるエネルギー(電動機効率 ηm\eta_m)を考慮しなければなりません。効率は 1 未満の値であり、これらで割ることで、必要な入力電力が理論出力よりも大きくなるという物理的な現実を反映させています。

解法に至る思考のプロセス

問題を解く際は、単位に注意しながら順を追って計算します。

  1. 理論出力の計算: 9.8×150×200=2940009.8 \times 150 \times 200 = 294000 [kW] ここで得られる値は単位がkWとなることに注意します。

  2. 総合効率による補正: ポンプ効率 0.850.85 と電動機効率 0.90.9 を掛け合わせ、総合効率 η=0.85×0.9=0.765\eta = 0.85 \times 0.9 = 0.765 を求めます。

  3. 入力の算出: P=2940000.765384313P = \frac{294000}{0.765} \approx 384313 [kW]

  4. 単位換算: MW単位に直すと 384313 kW=384.3 MW384313 \text{ kW} = 384.3 \text{ MW} となります。選択肢の中で最も近い値である 384384 を選択します。

揚水発電の構造とエネルギー管理への応用

揚水式発電所は、電力需要が少ない夜間に余剰電力を使って水を上の池に汲み上げ、昼間の需要ピーク時に放水して発電する、巨大な蓄電池のような役割を担っています。この計算問題は、単なる公式の暗記を問うものではなく、電力系統を運用するエンジニアにとって不可欠な「どれだけの電力を消費して、どれだけの位置エネルギーを蓄えられるか」という効率的なシステム設計の視点を養うためのものです。

ポンプやタービンの設計、あるいは電力卸売市場での運用計画を立てる際、損失を見込んだ入出力を正確に予測することは極めて重要です。この計算手法を理解しておくことは、発電所の経済的な運転計画や、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う調整力の計算など、実務の現場で直結する基礎知識となります。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう