第一種電気工事士試験 / 平成30年度 第一種 筆記試験 / 問37
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平成30年度 第一種 筆記試験 問37 解説 絶縁油の劣化診断

変圧器の絶縁油の劣化診断に直接関係のない ものは。

  1. イ. 絶縁破壊電圧試験
  2. ロ. 水分試験
  3. ハ. 真空度測定 ✓ 正答
  4. ニ. 全酸価試験

解説

この問題は、変圧器の絶縁油の劣化診断に関する基本的な知識を問うものです。選択肢の中から、変圧器の絶縁油の診断とは直接関係のない項目を選びます。

解き方

変圧器の絶縁油の劣化診断は、油の絶縁性能や化学的変化を評価する試験が中心となります。「絶縁破壊電圧試験」「水分試験」「全酸価試験」は、いずれも絶縁油の劣化状態を直接的、間接的に把握するための重要な試験項目です。一方、「真空度測定」は、主に真空遮断器(VCB)の真空バルブの性能評価に用いられる試験であり、変圧器の絶縁油の診断とは関係がありません。したがって、「ハ. 真空度測定」が正解となります。

変圧器の絶縁油の役割と劣化診断の重要性

変圧器の絶縁油は、単に電気的な絶縁を保つだけでなく、変圧器が運転中に発生する熱を冷却する役割も担っています。さらに、タップ切換器などアークを伴う箇所では、アークを消弧する機能も求められます。これらの重要な役割を果たす絶縁油が、運転中の熱、空気中の酸素、水分、電気的ストレスなどによって徐々に劣化すると、変圧器の性能低下や故障につながる可能性があります。そのため、定期的に絶縁油の状態を診断し、適切な時期に交換やろ過といったメンテナンスを行うことが、変圧器の安定運転には不可欠です。

絶縁油の主な劣化診断項目

変圧器の絶縁油の劣化診断には、様々な試験項目があります。ここでは主なものを解説します。

絶縁破壊電圧試験

これは、絶縁油の電気的な絶縁性能を直接評価する最も基本的な試験です。油中に設定された電極間に徐々に電圧を印加し、絶縁破壊が生じる電圧を測定します。この絶縁破壊電圧が低いほど、油の絶縁性能が低下していることを意味します。油中の水分や異物がこの値を大きく低下させる原因となります。

水分試験

絶縁油中の水分含有量を測定します。水分は絶縁油の絶縁性能を著しく低下させるだけでなく、油の劣化を促進させたり、低温時に氷結して絶縁破壊の原因となったりするため、非常に重要な管理項目です。一般的に、水分量が少ないほど良好な状態とされます。

全酸価試験

絶縁油が酸化劣化すると、有機酸などの酸性物質が生成されます。全酸価試験は、これらの酸性物質の総量を測定し、油の酸化劣化の進行度合いを評価するものです。全酸価が高いと、油の粘度が増加したり、スラッジ(汚泥)が発生して冷却性能が低下したり、最終的には絶縁破壊につながる可能性があります。

その他の関連試験

上記以外にも、以下のような試験が実施されることがあります。

  • 色相試験: 油の色合いを目視で確認し、変色度合いから劣化の進行をある程度判断します。
  • 引火点試験: 油の引火点を測定し、異常発熱や火災安全性の確認を行います。
  • 誘電正接試験(tanδ試験): 絶縁油の誘電損失を評価するもので、油中に含まれる極性物質の量や導電性の異物の影響を把握できます。

真空度測定の対象と役割

選択肢「ハ. 真空度測定」は、変圧器の絶縁油の診断項目ではありません。これは主に**真空遮断器(VCB)**の真空バルブ(インタラプタ)内の真空度を測定するために用いられる試験です。

真空遮断器は、その名の通り、高真空状態の容器内で電流を遮断することで、アークを効率的に消弧します。この真空バルブ内の真空度が低下すると、遮断性能が著しく低下し、最悪の場合、電流遮断時に再点弧して重大な事故につながる可能性があります。そのため、真空遮断器の保守管理において、真空度の定期的な測定は、その寿命判断や安全運転のために非常に重要な項目となっています。

この問題から得られる知識

この問題は、電気設備ごとの主要な劣化診断項目を正確に理解しているかを確認するものです。変圧器の絶縁油診断と真空遮断器の真空バルブ診断は、それぞれ異なる目的と測定項目を持ちます。単に暗記するだけでなく、なぜその試験が必要なのか、その項目が何を表しているのかを理解することで、実務でも応用が利き、試験対策としても効果的です。


参考リンク

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