第一種電気工事士試験 / 平成30年度 第一種 筆記試験 / 問24
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平成30年度 第一種 筆記試験 問24 解説 接地極の規格

地中に埋設又は打ち込みをする接地極として,不適切なものは。

  1. イ. 内径 36 mm 長さ 1.5 m の厚鋼電線管
  2. ロ. 直径 14 mm 長さ 1.5 m の銅溶覆鋼棒
  3. ハ. 縦 900 mm×横 900 mm×厚さ 1.6 mm の銅板
  4. ニ. 縦 900 mm×横 900 mm×厚さ 2.6 mm のアルミ板 ✓ 正答

解説

接地極の材料として適切でないものを選ぶ問題です。接地極には、大地との接触を保ち、長期にわたって安定した接地抵抗を維持できる材料が求められます。アルミニウムは、土壌中で腐食しやすく、安定した性能を保つことが難しいため、通常、接地極としては不適切とされています。したがって、アルミ板を選んでいる選択肢が不適切と判断できます。

接地極の基本的な役割と要求性能

接地極は、電気設備と大地を電気的に接続し、雷サージや漏電発生時に過電流を安全に大地に流すことで、感電事故の防止や機器の損傷を防ぐための非常に重要な部品です。この役割を長期にわたって安定して果たすために、接地極には以下の性能が求められます。

1. 良好な導電性

大地に電流を効率よく流すため、材料自体が高い電気伝導度を持つ必要があります。

2. 優れた耐食性

地中に埋設されるため、土壌中の水分、酸性度、アルカリ性度、イオン濃度といった様々な化学的要因による腐食に強く、長期間にわたってその性能を維持できることが不可欠です。腐食によって断面積が減少したり、表面に高抵抗の被膜が形成されたりすると、接地抵抗が増大し、接地効果が低下します。

3. 十分な機械的強度

埋設時の衝撃や土壌の圧力に耐えうる物理的な強度も必要です。

4. 経済性

広く用いられる部品であるため、性能とコストのバランスが取れた材料が選定されます。

接地極として一般的に使用される材料とその特徴

日本の電気設備に関する技術基準や内線規程では、接地極に用いる材料について規定があります。主に以下の材料が用いられます。

銅および銅合金

銅は非常に優れた導電性と、土壌中での良好な耐食性を兼ね備えています。そのため、接地極として最も広く、信頼性の高い材料として使用されます。

  • 銅板: 一般に厚さ0.7mm以上のものが使用されます。問題文の「縦900mm×横900mm×厚さ1.6mmの銅板」は、この基準を満たしており、適切です。
  • 銅溶覆鋼棒: 鋼棒の表面に銅を被覆したもので、鋼の機械的強度と銅の優れた導電性・耐食性を両立させています。問題文の「直径14mm長さ1.5mの銅溶覆鋼棒」は、標準的な接地棒であり、適切です。

鋼(鉄)

鋼も接地極として使用されますが、銅と比較すると導電性や耐食性が劣ります。しかし、コストが安いという利点があります。腐食を抑えるために、亜鉛めっきが施された鋼管や鋼棒が使われることが一般的です。

  • 厚鋼電線管: 十分な厚みと長さがあれば、鋼管として接地極に使用できます。亜鉛めっき処理が施されているものが望ましいです。問題文の「内径36mm長さ1.5mの厚鋼電線管」は、接地極として使用可能な材料の一つであり、適切です。

アルミニウム(不適切)

アルミニウムは比較的良好な導電性を持つ金属ですが、土壌中で非常に腐食しやすいという決定的な欠点があります。特に土壌中の水分や様々なイオンが存在する環境では、電解腐食(ガルバニ電池作用)が起こりやすく、急速に腐食が進行する可能性があります。一度腐食が始まると、導電性が低下し接地抵抗が増大するため、接地極としての信頼性を維持できません。

  • 問題文の「縦900mm×横900mm×厚さ2.6mmのアルミ板」は、厚さ自体は十分に見えますが、材料がアルミニウムであるため、接地極としては不適切です。

なぜアルミニウムは接地極に不向きなのか

アルミニウムは、空気中では表面に強固な酸化被膜を形成し、それが腐食を防ぐ役割を果たします。しかし、地中環境は空気中とは大きく異なります。 土壌は水分を含み、酸やアルカリ、様々な塩類(イオン)を含んでいるため、電解質溶液として機能します。このような環境では、アルミニウムの酸化被膜が破壊されやすく、特に土壌のpHが極端に酸性またはアルカリ性に傾いている場合や、異種金属がアルミニウムと接触している場合には、アルミニウムが優先的に腐食するアノード(陽極)となり、溶け出してしまう「電解腐食」が起こりやすくなります。 接地極の性能は長期間にわたって安定していることが求められるため、このような腐食リスクの高いアルミニウムは接地極としては推奨されません。

この知識が活かされる場面と問題の教育的意図

この問題は、第一種電気工事士として安全かつ信頼性の高い電気設備を施工・管理するために、接地極の材料選定に関する基本的な知識が不可欠であることを示しています。 実際の電気工事現場では、接地工事の設計段階や施工時に、どのような材料の接地極を使用するか、設置場所の土壌条件に適した材料は何かを検討する必要があります。不適切な材料を選定してしまうと、たとえ初期の接地抵抗値が基準を満たしていても、経年劣化により接地効果が失われ、将来的に感電事故や機器故障のリスクを高めることにつながります。

この知識は、電気設備の長期的な安全性と信頼性を確保するための基本であり、第一種電気工事士が工場や大規模建築物などの電気設備に携わる上で、責任ある判断を下すために必須となります。問題を通じて、材料の特性が設備の安全性に長期的にどう影響するかを理解することが、出題者の教育的意図と言えるでしょう。

参考リンク

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