第一種電気工事士試験 / 平成30年度 第一種 筆記試験 / 問18
certification-simodake-work

平成30年度 第一種 筆記試験 問18 解説 ディーゼル機関のはずみ車

ディーゼル機関のはずみ車(フライホイール) の目的として,正しいものは。

  1. イ. 停止を容易にする。
  2. ロ. 冷却効果を良くする。
  3. ハ. 始動を容易にする。
  4. ニ. 回転のむらを滑らかにする。 ✓ 正答

解説

この問題は、ディーゼル機関の構造と基本的な物理原理に関する知識を問うものです。はずみ車(フライホイール)は、その慣性力を利用して回転の変動を吸収し、エンジンの運転を滑らかにする役割を持っています。したがって、「ニ. 回転のむらを滑らかにする」が正解となります。

ディーゼル機関の回転変動とは

ディーゼル機関に限らず、ガソリンエンジンなどの内燃機関は、ピストンが往復運動をすることでクランクシャフトを回転させ、動力を生み出します。この運動は「ストローク」と呼ばれる複数の行程に分かれています。例えば4ストローク機関では、吸気、圧縮、燃焼(膨張)、排気の4つの行程があります。

この中で実際に動力を生み出すのは「燃焼(膨張)行程」のみであり、このとき大きなトルク(回転力)が発生します。しかし、他の吸気、圧縮、排気の各行程では、ピストンを動かすために外部からの力が必要となり、むしろ回転に対する抵抗となります。

その結果、エンジンの回転速度は、燃焼行程で一時的に速くなり、他の行程で遅くなるという変動(むら)が生じてしまいます。この回転のむらがあると、機械全体の振動が大きくなったり、出力が不安定になったりして、快適な運転や機械の寿命に悪影響を及ぼします。

はずみ車(フライホイール)の役割と原理

この回転のむらを解消し、エンジンの運転を安定させるために用いられるのが「はずみ車」、別名「フライホイール」です。フライホイールは、その名の通り重くて大きな円盤状の部品で、エンジンのクランクシャフトに取り付けられています。

フライホイールの主な働きは、その「慣性モーメント」を利用して回転エネルギーを貯蔵し、放出することです。

  • 慣性モーメント:物体がその回転状態を維持しようとする性質の大きさを表す物理量です。重く、回転軸から遠い位置に質量が集中しているほど慣性モーメントは大きくなります。

エンジンの燃焼行程で余分なトルクが発生し、回転速度が速くなろうとするとき、フライホイールはその回転エネルギーを吸収して蓄えます。そして、他の行程でトルクが不足し、回転速度が遅くなろうとするとき、フライホイールは蓄えた回転エネルギーを放出して、エンジンの回転を助けます。

このエネルギーの吸収と放出の繰り返しによって、エンジン全体の回転速度の変動が平均化され、回転が滑らかになります。まるでダムが水の流量を調整するように、フライホイールは回転エネルギーの「ダム」として機能し、安定した動力供給を可能にするのです。

この原理は、ディーゼル機関だけでなく、ガソリンエンジン、ポンプ、コンプレッサーなど、周期的にトルク変動が生じる様々な回転機械で活用されています。

なぜ他の選択肢は間違いなのか

  • イ. 停止を容易にする。 フライホイールは大きな慣性モーメントを持つため、一度回転し始めるとその回転を維持しようとします。そのため、停止させようとする力に対して抵抗が大きく、むしろ停止しにくくなります。

  • ロ. 冷却効果を良くする。 フライホイールはエンジンの冷却とは直接関係ありません。冷却は通常、冷却水や冷却フィン、ファンなどによって行われます。

  • ハ. 始動を容易にする。 手動でエンジンを始動する場合、フライホイールの大きな慣性モーメントは、初期の回転を始めるのに大きな力が必要となるため、むしろ始動を困難にします。電気式のセルモーターなどで強力に回転を補助することで始動は可能になりますが、フライホイール単体の目的としては不適切です。

この知識が活きる場面

第一種電気工事士の試験では、発電設備や各種電動機が関連する問題も出題されます。ディーゼル機関は非常用発電機などの動力源として広く用いられています。このような機械の基本的な動作原理や構成部品の役割を理解しておくことは、設備の選定、設置、メンテナンスを行う上で非常に重要です。

例えば、発電機のディーゼルエンジンの回転が不安定であれば、発電される電気の周波数や電圧にも変動が生じ、電力品質の低下につながります。フライホイールのような部品が、そのような問題を未然に防ぎ、安定した電力供給を支えていることを知ることは、電気設備全体の信頼性を評価する上でも役立つ知識と言えるでしょう。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう