平成30年度 第一種 筆記試験 問17 解説 火力発電の再熱サイクル
図は火力発電の再熱サイクルを表したものである。図中の A, B, C, D の組合せとして, 正しいものは。
- イ.
- ロ.
- ハ. ✓ 正答
- ニ.
解説
図中の機器の働きを、蒸気の流れに沿って追っていくことで判断できます。
まず、D は、蒸気タービンで仕事をした後の蒸気を冷却し、水(復水)に戻す役割を担う「復水器」です。この復水は給水ポンプによって再びボイラへ送られます。
次に、給水ポンプから送られた水を加熱し、高温高圧の蒸気を発生させるのが A の「ボイラ」です。
ボイラ A で発生した蒸気は、さらに高温にするために「過熱器」を通ってから高圧タービンへ送られます。したがって、B は「過熱器」です。
高圧タービンで一部仕事をした蒸気は、まだエネルギーを持っていますが温度が下がっています。これを再びボイラ内の燃焼ガスで加熱し、温度を高めて低圧タービンへ送るのが C の「再熱器」です。
これらの組み合わせから、 A: ボイラ B: 過熱器 C: 再熱器 D: 復水器 となり、選択肢「ハ」が正解です。
火力発電所の再熱サイクルと主要機器
火力発電は、燃料を燃やして水を沸騰させ、発生した高温高圧の蒸気でタービンを回し、その回転力を利用して発電機を動かす仕組みです。この問題で問われている「再熱サイクル」は、最も一般的な「ランキンサイクル」を改良し、さらに発電効率を高めたサイクルの一つです。
各機器の役割と蒸気の流れ
- ボイラ(A): 燃料(石炭、石油、LNGなど)を燃焼させて発生する熱で、ボイラ内の水を加熱し、高温高圧の蒸気を生成します。
- 過熱器(B): ボイラで発生した蒸気は飽和蒸気ですが、これをさらに加熱し、より温度の高い過熱蒸気にします。これにより、タービンでの膨張時に液滴の発生を抑え、タービンブレードの損傷を防ぐとともに、タービンでより多くの仕事を取り出すことが可能になります。
- 高圧蒸気タービン: 過熱器を通った高温高圧蒸気は、まず高圧タービンへ送られ、ここで膨張して回転力を生み出します。
- 再熱器(C): 高圧タービンで仕事をして温度と圧力が下がった蒸気は、再びボイラ内(再熱器)に戻され、燃焼ガスによって再加熱されます。この再加熱により、蒸気の温度が再び上昇し、効率良く仕事を取り出す準備が整います。
- 低圧蒸気タービン: 再熱器で加熱された蒸気は、次に低圧タービンへ送られ、さらに膨張して仕事を行います。再熱器を設けることで、タービンの最終段での蒸気の湿り度(水滴の割合)を低く保ち、タービンブレードの保護とサイクル効率の向上に貢献します。
- 発電機(G): 蒸気タービンの回転エネルギーを利用して電気を生成します。
- 復水器(D): 低圧タービンで仕事をした後の蒸気は、冷水によって冷却され、水(復水)に戻されます。復水器で蒸気を水に戻すことで、タービン出口の圧力を非常に低く保ち、タービンの有効落差(膨張比)を大きくして発電効率を高めます。また、純粋な水を回収してボイラへ戻し、再利用します。
- 給水ポンプ: 復水器で水に戻ったものを、再びボイラへ送るためのポンプです。
この一連のサイクルを繰り返すことで、連続的に発電が行われます。
なぜ再熱サイクルが重要なのか
再熱サイクルは、一般的なランキンサイクルに比べて熱効率を向上させる目的で導入されます。高圧タービン後の蒸気を再加熱することで、蒸気が低圧タービンでさらに多くの仕事を行うことが可能になり、結果として燃料から得られる熱エネルギーをより効率的に電気エネルギーに変換できるようになります。
また、再熱によって低圧タービンでの蒸気の湿り度が低減されることは、タービンブレードが水滴によって浸食されるのを防ぐ上で非常に重要です。これにより、タービン設備の寿命が延び、メンテナンスコストの削減にもつながります。
第一種電気工事士試験におけるポイント
火力発電所の主要機器の名称と、それがサイクルの中でどのような役割を担っているかを理解することは、第一種電気工事士として発電設備全般の知識を持つ上で不可欠です。
図で示される機器の配置や蒸気の流れを、それぞれの機能と結びつけて覚えることが重要です。特に、ボイラ、過熱器、再熱器、タービン、復水器、給水ポンプといった主要な機器は、その役割と配置が問われやすいポイントです。単に暗記するだけでなく、なぜその機器がその位置にあるのか、どのような働きをしているのかを理解することで、応用的な問題にも対応できるようになります。