第一種電気工事士試験 / 平成30年度 第一種 筆記試験 / 問11
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平成30年度 第一種 筆記試験 問11 解説 電動機の出力式

巻上荷重 W[kN]の物体を毎秒 v[m]の速度 で巻き上げているとき, この巻上用電動機の 出力[kW]を示す式は。 ただし, 巻上機の効率は η[%]であるとす る。

  1. イ. 100W・v / η ✓ 正答
  2. ロ. 100W・v² / η
  3. ハ. 100ηW・v
  4. ニ. 100ηW²・v²

解説

電動機の出力PP[kW]を求めるには、まず仕事率の基本的な考え方から始めます。物体を動かすために必要な仕事率は、「力WW[kN]と速度vv[m/s]の積」で求められます。これに効率ηη[%]を考慮することで、電動機が実際に発生させるべき出力が算出できます。

具体的な手順は以下の通りです。

  1. 物体を巻き上げるのに必要な仕事率(有効仕事率)を求めます。これはW×vW \times vで計算できます。単位は[kN・m/s]となり、これは[kJ/s]、つまり[kW]と等しいので、そのままWvWv[kW]となります。
  2. この有効仕事率を、電動機の効率で割ります。効率がηη[%]で与えられているので、計算ではη/100η/100として扱います。
  3. したがって、電動機の出力P=Wvη/100=100WvηP = \frac{Wv}{\eta/100} = \frac{100Wv}{\eta}[kW]となります。

この結果と選択肢を照らし合わせると、イ. 100Wv/η100W \cdot v / \eta が正解です。

力と仕事率、そして出力の基礎

この問題の根幹にあるのは、物理学における「仕事」と「仕事率」の概念です。

物体に力FF[N]を加えて距離ss[m]だけ動かしたとき、その間にした仕事はJ=F×sJ = F \times s[J](ジュール)で表されます。

そして、「仕事率」とは単位時間あたりにする仕事の量であり、P=JtP = \frac{J}{t}[W](ワット)で計算されます。 仕事J=F×sJ = F \times sを代入すると、P=F×stP = \frac{F \times s}{t}となります。ここで、s/ts/tは速度vv[m/s]を意味するので、仕事率は「力FF[N]と速度vv[m/s]の積」、すなわちP=F×vP = F \times v[W]という形で表現できます。

この問題では、巻上荷重WW[kN]が力に相当し、速度vv[m/s]が与えられています。 力の単位が[kN](キロニュートン)であることに注意してください。1 kN = 1000 Nです。 仕事率の単位[W]は[J/s]と等しく、[N・m/s]とも等しいです。 したがって、力に[kN]、速度に[m/s]を用いると、P=W[kN]×v[m/s]P = W[\text{kN}] \times v[\text{m/s}]の計算結果は[kN・m/s]となります。 [kN・m/s]は[kJ/s]と等しく、これはまさに[kW](キロワット)のことです。 つまり、この計算によって得られるWvWvは、そのまま単位が[kW]となるのです。

効率の考え方と電動機の出力

実際の機械では、入力されたエネルギーがすべて有効な仕事に変換されるわけではありません。摩擦、空気抵抗、電気的な損失など、様々な要因でエネルギーが失われます。この損失を考慮するのが「効率ηη」です。

効率は通常、η=出力入力×100[%]\eta = \frac{\text{出力}}{\text{入力}} \times 100 [\%]で定義されます。

この問題では、物体を巻き上げるための「仕事率WvWv[kW]」は、電動機が生み出すべき「有効な仕事率」に当たります。しかし、電動機自体にも損失があるため、この有効な仕事率を出力するためには、それ以上の電力を電動機に入力しなければなりません。

私たちが求めたいのは「巻上用電動機の出力」です。これは、電動機が実際に外部に対してどれだけの仕事率を供給しているか、という物理的な出力ではなく、電動機が「発生させるべき電力」という意味での出力(入力に近い概念)として問われています。

より具体的に考えると、巻上機がWvWv[kW]の仕事をするために必要な、電動機の機械的な出力PmechP_{mech}WvWv[kW]です。 しかし、電動機から巻上機への動力伝達にも効率(または電動機自体の電気的損失を考慮した総合効率)が関わってきます。問題文の「巻上機の効率はη\eta[%]」という記述は、この全体の効率を指しています。

電動機がPoutP_{out}[kW]の出力をしたときに、巻上機が有効な仕事率Peff=WvP_{eff} = Wv[kW]を達成できる、と考えます。 この場合、効率の式はPeff=Pout×(η/100)P_{eff} = P_{out} \times (\eta/100)となります。 したがって、電動機の出力PoutP_{out}は、Pout=Peffη/100=Wvη/100=100WvηP_{out} = \frac{P_{eff}}{\eta/100} = \frac{Wv}{\eta/100} = \frac{100Wv}{\eta}[kW]となります。

これは、電動機が「巻上機の損失分も含めて供給しなければならない総仕事率」と解釈できます。

なぜこの知識が重要なのか

この問題で問われる知識は、電気工事士として電動機や機械設備の選定、そしてそれに伴う電源設備(配線、ブレーカー、開閉器など)の容量計算を行う上で極めて基礎的かつ重要なものです。

例えば、工場で新しいクレーンを設置する際、最大で何トンの荷物を、どのくらいの速度で巻き上げる必要があるかをまず決定します(これがWWvvに相当します)。そこから必要な有効仕事率を算出し、巻上機の種類や構造から効率ηηを見積もります。これらの情報を用いて、実際に使用する電動機の「定格出力」を決定するわけです。

電動機の定格出力が決まれば、それに合わせて必要な電流値が分かり、適切な太さのケーブルや過電流保護装置(ブレーカーなど)を選定できます。もし、この計算を誤ると、電動機が定格能力を発揮できなかったり、逆に過大な電動機を選んで無駄なコストをかけたり、最悪の場合、過負荷による火災や感電事故につながる可能性もあります。

単位の扱い、特に[kN]から[kW]への変換が「そのまま掛け合わせるだけ」ということを理解しているかどうかも、このような問題のポイントです。複雑な単位換算表を覚えるのではなく、物理的な意味([N・m/s]が[W]に相当する)を理解することが、応用力を高める上で役立ちます。

参考リンク

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