第一種電気工事士試験 / 平成29年度 上期 筆記試験 / 問6
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平成29年度 上期 筆記試験 問6 解説 力率改善コンデンサ

設問図

定格容量200kV・A, 消費電力120kW, 遅れ 力率cosθ1=0.6の負荷に電力を供給する高圧受電 設備に高圧進相コンデンサを施設して, 力率を cosθ2=0.8に改善したい。必要なコンデンサの 容量[kvar]は。 ただし, tanθ1=1.33, tanθ2=0.75 とする。

  1. イ. 35
  2. ロ. 70 ✓ 正答
  3. ハ. 90
  4. ニ. 160

解説

力率改善の計算は、負荷の有効電力 PP に、力率改善前後の tanθtan \theta の差を掛けることで求められます。 手順は以下の通りです。

  1. 改善前の無効電力 Q1=P×tanθ1=120×1.33=159.6Q_1 = P \times tan \theta_1 = 120 \times 1.33 = 159.6 [kvar]
  2. 改善後の無効電力 Q2=P×tanθ2=120×0.75=90Q_2 = P \times tan \theta_2 = 120 \times 0.75 = 90 [kvar]
  3. 必要なコンデンサ容量 Qc=Q1Q2=159.690=69.6Q_c = Q_1 - Q_2 = 159.6 - 90 = 69.6 [kvar]

選択肢から最も近い値である 70 [kvar] を選びます。

力率改善の考え方

電力供給における力率とは、皮相電力に対する有効電力の割合を指します。多くの負荷はコイル成分を持つため遅れ力率となりますが、これにコンデンサ(進み無効電力)を並列に接続することで、打ち消し合いを行い力率を改善します。

重要な点は、コンデンサを設置しても「有効電力」の大きさは変わらないという点です。コンデンサの役目は、あくまで負荷が消費する無効電力の供給源を外部(電力会社)から自前(コンデンサ)に切り替えることにあるため、計算の基軸には不変である有効電力を置きます。

ベクトルで捉える無効電力の引き算

この問題を解く際は、電力の三角形をイメージすることが近道です。横軸を有効電力 PP、縦軸を無効電力 QQ としたとき、斜辺の皮相電力 SS とのなす角が θ\theta です。

コンデンサによる改善とは、この三角形の縦軸(無効電力)の長さを短くする作業に他なりません。つまり、元の無効電力 Q1Q_1 から、目標とする無効電力 Q2Q_2 を引き算した残りが、コンデンサが負担すべき容量 QcQ_c となるわけです。式で表すと Qc=P(tanθ1tanθ2)Q_c = P(tan \theta_1 - tan \theta_2) となり、今回の計算手順はこの公式を直感的に分解したものです。

実務現場と電気理論のつながり

この計算式が実際の高圧受電設備で重要視される理由は、主に電気料金の低減と設備の容量有効活用にあります。電力会社との契約では力率が85%を下回ると基本料金が割り増しになることが多いため、受電設備設計においてコンデンサの容量選定は経済的な必須事項です。

また、力率を改善すると、変圧器や配電線に流れる電流そのものを小さく抑えることができます。つまり、同じ変圧器を使っていても、より多くの負荷を接続できる余裕が生まれるのです。試験で問われるこの計算は、単なる暗記ではなく、電力系統を最適化するための基礎的な技術計算として位置付けられています。

参考リンク

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