平成28年度 筆記試験 問37 解説 D種接地工事
自家用電気工作物として施設する電路又は 機器について,D種接地工事を施さなければ ならないものは。
- イ. 高圧電路に施設する外箱のない変圧器の鉄心
- ロ. 定格電圧 400 Vの電動機の鉄台
- ハ. 6.6 kV / 210 Vの変圧器の低圧側の中性点
- ニ. 高圧計器用変成器の二次側電路 ✓ 正答
解説
接地工事の種類を判断する際は、機器の使用電圧と設置場所、そして保安上の役割を整理することが近道です。D種接地工事は、主に300V以下の低圧機器の金属製外箱や、高圧電路に関連する二次側の電位抑制を目的として行われます。
接地工事種別の選別と判断の根拠
今回の問題は、各選択肢がどの接地工事に該当するかを特定することで正解にたどり着けます。
イ. 高圧電路に施設する外箱のない変圧器の鉄心 高圧機器の鉄心や金属枠は、漏電時の感電防止のため、より強固な接地が必要です。これらは原則としてA種接地工事(高圧用)の対象となります。
ロ. 定格電圧 400V の電動機の鉄台 使用電圧が300Vを超える低圧機器の金属製外箱には、C種接地工事が必要です。400Vという電圧区分は、低圧の中でも注意が必要な境界線です。
ハ. 6.6kV / 210V の変圧器の低圧側の中性点 変圧器の低圧側電路に施設する接地工事は、その電圧に応じて決まります。300V以下の電路の中性点にはB種接地工事(変圧器の二次側に施すもの)が必須となります。
ニ. 高圧計器用変成器の二次側電路 高圧計器用変成器(VT)の二次側は、万が一高圧側と混触した場合に低圧側の電位が上昇しないよう、D種接地工事を施すことが定められています。これが本問の正解です。
思考の整理術:接地種別の役割と区分
接地工事は、設備の安全を守るための「逃げ道」を作る作業です。試験対策として、以下の分類を頭に入れておくと非常にスムーズです。
A種:高圧・特別高圧機器の鉄台や外箱。感電防止が主目的。 B種:変圧器の低圧側中性点など。混触時に高電圧が低圧側に及ぶのを防ぐための専用接地。 C種:300Vを超える低圧機器の金属製外箱。 D種:300V以下の低圧機器の金属製外箱、および高圧計器用変成器の二次側電路。
特に、高圧計器用変成器の二次側がD種である点は非常に狙われやすいポイントです。高圧機器を扱う現場において、計器は作業者が直接触れる場所にあることが多いため、低圧側を確実に大地電位に固定しておくという保安上の必然性があります。
現場における接地工事の重要性
この知識は、単なる暗記項目ではなく、電気事故を未然に防ぐための現場の実務に直結しています。例えば、工場の点検で400Vの電動機に接地が施されていないことを見つけた場合、それがC種接地を要する箇所であることを認識していなければ、保安管理上の重大な欠陥を見過ごすことになります。
また、変圧器の二次側に接地を施す理由を理解していれば、絶縁監視装置の設置や漏電遮断器の選定など、より高度な保安設計にも応用が可能です。「なぜこの電位を大地に逃がす必要があるのか」という目的意識を持つことは、試験合格のみならず、将来的な技術者としての信頼にもつながる重要な視点です。