第一種電気工事士試験 / 平成28年度 筆記試験 / 問9
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平成28年度 筆記試験 問9 解説 接地工事の対地電圧

設問図

図のような回路において, 変圧器二次側の B種接地工事の接地抵抗値が10Ω, 金属製 外箱のD種接地工事の接地抵抗値が20Ωで あった。負荷の金属製外箱のA点で完全地絡 を生じたとき, A点の対地電圧[V]は。 ただし, 金属製外箱, 配線及び変圧器の インピーダンスは無視する。

  1. イ. 35
  2. ロ. 60
  3. ハ. 70 ✓ 正答
  4. ニ. 105

解説

この問題は、地絡事故が発生した際の回路に流れる電流を求め、その電流がD種接地抵抗にかかる電圧降下を算出することで解きます。手順は以下の2段階です。

  1. 地絡電流 IgI_g を求める: Ig=105/(RB+RD)=105/(10+20)=3.5[A]I_g = 105 / (R_B + R_D) = 105 / (10 + 20) = 3.5 [A]
  2. A点の対地電圧 VAV_A を求める: VA=Ig×RD=3.5×20=70[V]V_A = I_g \times R_D = 3.5 \times 20 = 70 [V]

地絡回路の形成とオームの法則

この問題の回路は、変圧器のB種接地(10Ω)と、金属製外箱のD種接地(20Ω)が、地絡発生時に直列に接続された閉回路を構成しているとみなせます。変圧器二次側の電圧105Vが、この2つの抵抗で分圧される形になるため、単純なオームの法則を用いて電流値を計算できます。

重要な点は、地絡が発生した瞬間に、本来は電気的に隔離されているはずの外箱が、接地を通じて電源回路の一部となってしまうことです。このとき、回路全体に流れる電流は「電圧 / 合成抵抗」で決定されます。

段階的な計算の組み立て

試験会場で迷わないための思考順序は次の通りです。

まず、回路図を簡略化してイメージします。変圧器の二次側電圧からスタートし、B種接地抵抗を通って大地へ流れ、地絡点から金属製外箱を経由してD種接地抵抗へ戻り、再び大地を通って変圧器へ帰るループを想像してください。このループに含まれる抵抗は、B種とD種の和である30Ωです。

次に、この回路に流れる電流を算出します。オームの法則 I=V/RI = V / R を適用し、105/30105 / 30 を計算すると 3.5A3.5A となります。

最後に、問われている「A点の対地電圧」に着目します。対地電圧とは、大地と対象箇所との間の電位差のことです。A点はD種接地を通じて大地とつながっているため、A点の対地電圧は、まさに「D種接地抵抗の両端にかかる電圧降下」そのものとなります。したがって、流れている電流にD種接地抵抗の値を掛けることで答えが得られます。

接地工事の安全設計と意義

この問題は、単なる計算練習ではなく、電気設備技術基準における「保護接地」の安全性を理解するための非常に重要なモデルです。

本来、金属製外箱は人が触れる可能性があるため、電位が大地と等しい(0Vである)ことが理想です。しかし、絶縁不良により地絡が発生すると、外箱が電圧を持つことになります。このとき、もしD種接地抵抗値が極端に大きければ、A点の対地電圧はさらに上昇し、感電のリスクが高まります。

実務においては、この計算結果(70V)を見て、人が触れる可能性のある場所として許容できる電位なのか、あるいはより低い電位に抑えるために接地抵抗を下げなければならないのか、という設計上の判断が求められます。試験で学ぶ抵抗値の計算は、実際の現場で「どの程度の電位上昇が起こりうるか」を予測するための基礎能力として役立ちます。

参考リンク

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