平成27年度 筆記試験 問32 解説 受電設備機器の名称
図中の番号(2)で示す部分の名称はどれか。
- イ. 接地線
- ロ. 防護管 ✓ 正答
- ハ. 支線
- ニ. 埋設地線
解説
受電設備の開口部管理が示すリスク
この問題の正解を導く鍵は、高圧受電設備において「もっとも重大な事故原因の一つ」が何かを考えることです。高圧機器が収められたキュービクル内には、むき出しの充電部が存在します。そこに小動物が侵入し、相間短絡や地絡事故を引き起こすケースが後を絶ちません。したがって、引込口などの開口部は「物理的な侵入経路を遮断する」ことが安全管理の最優先事項となります。
なぜ小動物の侵入対策が重要なのか
高圧受電設備において、ネズミ、ヘビ、ヤモリなどの小動物が侵入することは、単なる不快感の問題ではなく、電気事業法上の保安義務に関わる深刻なリスクです。
キュービクル内部は高圧電線や端子台が露出しており、これらに小動物が接触すると、短絡事故が発生します。短絡(ショート)が発生すると、大電流が流れて機器が焼損するだけでなく、最悪の場合、広範囲な停電や火災を誘発します。特に、引込口のようなケーブルを通す隙間は、小動物にとっては格好の侵入口となります。これらを最小限に留め、必要に応じてパテや防鼠材で塞ぐことは、受電設備の信頼性を維持するための極めて基本的なメンテナンス作業です。
試験問題が意図する判断基準
試験においてこのような「機器の構造と安全」を問う問題が出題される背景には、現場で施工する際に「隙間を放置しない」という意識を定着させる意図があります。
他の選択肢を検討すると、この意図がより明確になります。例えば、イの「水の浸入」については、もちろん対策は重要ですが、雨水の侵入に対しては通常、防雨構造や水切りなどの別のアプローチがとられます。ハの「ケーブルの外傷」については、保護管や防護板を用いるのが一般的です。ニの「強度の低下」については、開口部の面積で強度が大きく変わることは稀です。
つまり、選択肢を比較した際、「日常的な保守管理において、もっとも頻繁に発生し、かつ重大な事故に直結する外的要因」を選択することが、この問題の正しい思考プロセスです。
現場での施工知識としての活用
実際の現場では、施工完了後に必ず「開口部の閉塞処理」を確認します。ケーブルを配管で引き込んだ後、配管とケーブルの間に隙間があれば、防鼠用パテを充填して隙間を完全に埋めることがルールです。この知識は、竣工検査の際や、定期点検で「なぜここを塞がなければならないのか」を判断するための根拠となります。電気工事士として、機器の機能だけでなく、外部環境との境界線をどう守るかを考える視点が、事故を防ぐ技術者の基本姿勢となります。