第一種電気工事士試験 / 平成27年度 筆記試験 / 問23
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平成27年度 筆記試験 問23 解説 GR付PASの役割

設問図

写真に示すGR付PASを設置する場合の 記述として,誤っているものは。

  1. イ. 電気事業用の配線への波及事故の防止に効果がある。
  2. ロ. 自家用の引込みケーブルに短絡事故が発生したとき,自動遮断する。 ✓ 正答
  3. ハ. 自家用側の高圧電路に地絡事故が発生したとき,自動遮断する。
  4. ニ. 電気事業者との保安上の責任分界点又はこれに近い箇所に設置する。

解説

GR付PAS(地絡継電器付高圧交流負荷開閉器)の名称に含まれる「地絡(GR)」という機能に注目してください。この機器は「地絡事故」を検知して遮断するものであり、過電流(短絡事故)を遮断する機能は持たない、と即断するのが正解への近道です。したがって、短絡事故で自動遮断すると述べている選択肢ロが誤りとなります。

GR付PASの役割と構造

GR付PASは、自家用電気工作物と電気事業者の配電線との責任分界点に設置される保安機器です。この機器の最大の使命は、自家用設備内で発生した地絡事故が波及し、地域の広範囲を停電させることを防ぐことです。

構成要素としては、以下の二つの機能が一体化しています。 ・PAS(高圧交流負荷開閉器):手動または電気的な指令によって、負荷電流の開閉を行うスイッチ。 ・GR(地絡継電器):配電線側から見た地絡電流を検知し、PASをトリップ(開放)させる保護装置。

この機器はあくまで「負荷開閉器」であり、遮断器(CB)とは異なります。遮断器は短絡電流のような非常に大きな電流を安全に遮断する能力を持っていますが、PASはそこまでの遮断容量を持っていないため、短絡事故の保護は別の保護装置(ヒューズや高圧限流ヒューズなど)が担う必要があります。

なぜ短絡事故を遮断できないのか

電気的な事故には、主に「地絡」と「短絡」があります。 ・地絡:電路の一部が地面と接触し、電流が漏れること。比較的電流値は小さい。 ・短絡:相間が直接接触し、非常に大きな電流(過電流)が流れること。

PASは、地絡事故時に発生する漏れ電流を検知するための変流器(ZCT)などを備えていますが、短絡時の巨大な電流を遮断しようとすると、開閉器の接点が焼き付いたり、機器自体が破損したりする恐れがあります。そのため、短絡保護が必要な場合は、高圧受電設備において別に過電流保護装置を設けるのが原則です。

実務における位置付け

この問題は、電気工事士として現場で機器を選定する際の重要な「切り分け」を問うています。配電用変電所から送られてくる高圧配電線において、個々の需要家が引き起こす事故で配電線全体を停止させることは、電力供給の安定性の観点から避けなければなりません。

地絡事故が発生した際、PASが優先的に動作して自らの設備を配電線から切り離すことで、停電範囲を最小限に留める「波及事故防止」という責務を、このGR付PASは果たしています。試験では、この「地絡専用の保護装置である」という本質的な機能と、「短絡事故は担当外」という限界点をセットで理解しておくことが重要です。

参考リンク

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