平成27年度 筆記試験 問21 解説 遮断器の遮断容量
公称電圧 6.6 kV, 周波数 50 Hz の高圧受電設備に使用する高圧交流遮断器(定格電圧 7.2 kV, 定格遮断電流 12.5 kA, 定格電流 600 A)の遮断容量[MV・A]は。
- イ. 80
- ロ. 100
- ハ. 130
- ニ. 160 ✓ 正答
解説
遮断容量 を求めるには、以下の公式を使用します。
ここで、 は定格電圧 [kV]、 は定格遮断電流 [kA] です。 与えられた数値を代入すると、 となり、選択肢から最も近い 160 MV・A を導き出します。
遮断容量とは何を意味する数値か
遮断容量とは、遮断器が事故発生時に「どれだけ大きな故障電流まで安全に切り離すことができるか」という限界能力を示す指標です。
電気回路で短絡事故が発生すると、電源から非常に大きな電流(短絡電流)が流れます。遮断器はこの巨大なエネルギーを、接点を開くことで物理的に遮断しなければなりません。このとき遮断器内部では激しいアーク(火花放電)が発生しますが、遮断器はこのアークを消し止め、電流をゼロにする必要があります。この「消弧能力」を電圧と電流の積として表現したのが遮断容量です。
遮断容量の算出における考え方
この問題では「定格電圧」と「定格遮断電流」が与えられています。計算手順としては以下の通りです。
式の構成を理解する 遮断容量の単位は [MV・A] であり、これは電力()の単位です。したがって、定格電圧(kV)と定格遮断電流(kA)をそのまま掛け合わせれば、単位が [MV・A] となることがわかります。
計算の効率化 を正確に掛けるのではなく、まずは を先に計算します。 となり、これに を掛ける方が計算ミスを防げます。 ですので、選択肢の 160 に最も近い値を選択します。
実務現場で求められる遮断器の選定知識
第一種電気工事士が扱う高圧受電設備において、遮断器の選定は非常に重要な安全プロセスです。
遮断器を選ぶ際は、計算上の遮断容量だけでなく、実際に設置する配電系統の短絡容量(電源側から供給される短絡電流の大きさ)を考慮する必要があります。もし、系統の短絡電流が遮断器の定格遮断電流を上回る場合、遮断器は事故電流を遮断できずに焼き付いたり、爆発的な破壊に至ったりする恐れがあります。
そのため、設計段階では計算された短絡容量に対して、十分な余裕(マージン)を持たせた定格の遮断器を選定することが、電気保安の基本となります。この計算問題は、単なる数式遊びではなく、現場の安全を確保するための「最低限のスペック判断」を問うているのです。