平成27年度 筆記試験 問19 解説 不等率の計算
図のような日負荷曲線をもつA, Bの需要家がある。この系統の不等率は。
- イ. 1.17 ✓ 正答
- ロ. 1.33
- ハ. 1.40
- ニ. 2.33
解説
不等率を求める手順は以下の3ステップです。
- 各需要家の最大電力を個別に特定する
- 全体の合成最大電力を時間帯ごとに計算して求める
- 不等率の定義式 に代入する
今回の問題では、A需要家の最大電力は6kW、B需要家の最大電力は8kWです。また、時間帯ごとの合計は(0~6時:6+2=8kW)、(6~12時:4+2=6kW)、(12~24時:4+8=12kW)となります。合成最大電力はこの最大値である12kWです。したがって、式は となり、四捨五入して1.17が正解となります。
不等率という概念の考え方
不等率は、複数の負荷が「どれだけ時間をずらしてピークを迎えているか」を示す指標です。もしすべての需要家が同時に最大電力を使用すれば、合計値は単なる算術和になります。しかし、実際には家庭や工場によって電力を使う時間帯が異なるため、系統全体の最大電力は、個々の最大電力の和よりも小さくなります。
不等率の値が1に近いほど「すべての需要家が同時に電気を使っている(ピークが重なっている)」ことを意味し、1より大きくなるほど「ピークが分散しているため、系統設備を効率よく使える」ことを意味します。
合成最大電力を導き出す手順
この問題を解く際のポイントは、グラフから時間帯別の合計電力を視覚的あるいは数値的に読み取ることです。
- 0から6時:Aは6kW、Bは2kW。合計は8kW。
- 6から12時:Aは4kW、Bは2kW。合計は6kW。
- 12から24時:Aは4kW、Bは8kW。合計は12kW。
この3つの期間を比較し、最も大きな値を探すと12kWが見つかります。この12kWという数値は、変圧器や配電線などの供給設備を設計する際に、「最低限これだけの容量が必要である」という基準になる重要な値です。個々の最大電力の和(6+8=14kW)分だけの容量を設備に持たせるのは経済的ではないため、不等率を用いて合理的な設備容量を決定します。
実務における設備設計の視点
第一種電気工事士の試験において、この問題は単なる計算練習ではありません。受変電設備を設計する際、「需要設備全体で最大電力がいくらになるか」を予測する能力を養うためのものです。
例えば、マンション全体や工場群の受電設備容量を決定する際、すべての負荷が同時にフル稼働することを前提に設備を作ると、過大な投資コストがかかってしまいます。実際の運用では、負荷がピークを迎える時間を少しずつずらすことで、小さな設備でも大きな電力を安定供給できるように工夫します。この「負荷の分散による経済的効果」を数値化したものが不等率です。この知識は、後の負荷設備容量の計算や変圧器の選定といった実務的な設計業務における基本教養となります。