平成26年度 上期 学科試験 問1 解説 磁気回路の磁束
図のように、鉄心に巻かれた巻数Nのコイル に、電流Iが流れている。鉄心内の磁束Φは。 ただし、漏れ磁束及び磁束の飽和は無視 するものとする。
- イ. NIに比例する。 ✓ 正答
- ロ. N^2Iに比例する。
- ハ. NI^2に比例する。
- ニ. N^2I^2に比例する。
解説
この問題の正解は、選択肢イの「NIに比例する」です。
鉄心に巻かれたコイルに電流を流すと磁界が発生し、その磁束 は、コイルの巻数 と電流 の積である起磁力 に比例するという磁気回路の基本法則に基づいて解きます。
磁気回路のオームの法則
電気回路でオームの法則 が成り立つように、磁気回路においても同様の考え方が適用できます。これを磁気回路のオームの法則と呼び、以下の式で表されます。
ここで、各記号の意味は以下の通りです。
- [Wb]:磁束(電流に相当)
- [A]:起磁力(電圧に相当)
- [A/Wb]:磁気抵抗(電気抵抗に相当)
問題文にある「漏れ磁束及び磁束の飽和は無視する」という条件は、磁気抵抗 が常に一定であることを意味します。そのため、磁束 は分子にある起磁力 に正比例するという結論が導かれます。
起磁力を構成する要素
コイルに流れる電流 が増えれば、当然ながら発生する磁力は強くなります。また、巻数 が増えるということは、同じ電流であってもその電流が鉄心を囲む回数が増えることになり、結果として磁力が増大します。
もし、巻数 を2倍にすれば起磁力 は2倍になりますし、電流 を2倍にしても同様に2倍になります。どちらの変化も磁束 に比例して影響を与えるため、これらをまとめた という積の形で比例関係を考えるのが定石です。
電気設備実務における重要性
この知識は、第一種電気工事士試験における理論科目だけでなく、変圧器や変流器(CT)、電動機といった実務機器の動作原理を理解する上で極めて重要です。
例えば、変圧器の二次側に負荷を接続した際、二次側に流れる電流によって発生する磁束が、一次側から供給される磁束を打ち消そうとします。このとき、バランスを取るために一次側にも電流が流れます。この「磁気的な均衡」を理解していないと、変圧器の励磁電流や負荷電流の振る舞いについて正確な判断ができません。また、磁気飽和を無視できない実際の鉄心では、電流を過剰に流すと磁気抵抗 が急激に変化してしまい、この比例関係が崩れて波形歪み(高調波の発生)につながることもあります。機器の選定や故障時の挙動を考察する際の基礎となる概念です。