平成25年度 筆記試験 問30 解説 UGSの機能と特性
①で示す供給用配電箱(高圧キャビネット) に取り付ける地中線用地絡継電装置付き高圧 交流負荷開閉器(UGS)に関する記述として、 不適切なものは。
- イ. UGS は、電路に地絡が生じた場合、自動的に電路を遮断する機能を内 蔵している。
- ロ. UGS には地絡方向継電装置を使用することが望ましい。
- ハ. UGS は、電路の短絡電流を遮断する能力を有している。 ✓ 正答
- ニ. UGS の定格短時間耐電流は、系統(受電点)の短絡電流以上のものを 選定する。
解説
UGS(地中線用地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器)が短絡電流を遮断できないという点を見抜くことが、この問題の正解に至る唯一の鍵です。「負荷開閉器」はあくまで負荷電流の開閉を目的としており、短絡電流のような非常に大きな電流を遮断する機能は持たないことを思い出す必要があります。
UGSと遮断器の機能的な違い
負荷開閉器(LBSやUGSなど)と遮断器(CB)の最大の違いは、遮断できる電流の範囲にあります。
負荷開閉器は、定格電流の範囲内で負荷の入り切りを行うための機器です。構造上、アーク(火花)を消す能力が限定的であり、万が一、短絡事故が発生した際に流れる数千〜数万アンペアという膨大な電流を遮断しようとすると、機器自体が破損・爆発する恐れがあります。
対して遮断器は、短絡電流のような異常大電流を安全に遮断できるように設計されています。したがって、地中配電線などで短絡事故が発生した場合は、UGSではなく上位系統にある遮断器が動作して、事故箇所を切り離す仕組みになっています。
なぜUGSは「地絡」には対応できるのか
選択肢イにある通り、UGSは「地絡」を検知して自動遮断する機能を持っています。地絡電流は短絡電流に比べて値が小さく、地絡継電装置(DGR)と組み合わさることで、異常を検知した段階で負荷開閉器をトリップ(開放)させることが可能です。
ここで注意が必要なのは、選択肢ロにある「地絡方向継電装置」の存在です。電力系統には複数の分岐があるため、単純な地絡継電装置(GR)では、どこで起きた地絡か判別できず、停電範囲を広げてしまう可能性があります。そのため、事故の方向を判定できる地絡方向継電装置を使用することで、事故点のみを適切に切り離すことが、信頼性の高い保護協調において重要とされています。
定格短時間耐電流という考え方
選択肢ニにある「定格短時間耐電流」は、機器が「遮断はできないが、短絡電流が流れても一定時間であれば壊れずに耐えられる」能力のことです。
短絡事故が起きたとき、上位の遮断器が動作して電流を止めるまでの間、系統内のあらゆる機器には短絡電流が流れます。このとき、UGSがその電流に耐えられなければ、遮断器が動作する前にUGS自体が破壊されてしまいます。そのため、その地点で想定される短絡電流よりも大きい定格短時間耐電流を持つ機器を選定することは、設備の保護において非常に重要な設計思想です。
現場における実用的な位置づけ
この問題は、単に知識を問うだけでなく、現場で高圧受電設備を設計・運用する際の「保護協調」の基本を理解しているかを確認しています。どの機器が何を遮断し、どの機器が何に耐えるべきかという役割分担を理解しておくことは、過電流保護協調を考える際の出発点です。試験においても、実務においても、「遮断器=大電流を遮断する」「負荷開閉器=定格電流を開閉する(保護は限定的)」という境界線を明確にしておくことが、誤った機器選定を防ぐための必須知識となります。