平成25年度 筆記試験 問11 解説 変圧器の損失
変圧器の損失に関する記述として、誤って いるものは。
- 無負荷損の大部分は鉄損である。
- 負荷電流が2倍になれば銅損は2倍になる。 ✓ 正答
- 鉄損にはヒステリシス損と渦電流損がある。
- 銅損と鉄損が等しいときに変圧器の効率が最大となる。
解説
銅損は負荷電流の2乗に比例するため、電流が2倍になると銅損は4倍になります。したがって、2倍になると記述している選択肢ロが誤りです。
変圧器の損失と効率の基本
変圧器における主な損失は、鉄損と銅損の2つに大別されます。
鉄損は変圧器の磁気回路(鉄心)で生じる損失です。これは電圧を印加している間は負荷の大きさにほとんど関係なく一定であるため、無負荷損とも呼ばれます。鉄損はさらに、磁束の変化によって生じるヒステリシス損と、鉄心内の渦電流による渦電流損に分かれます。
銅損は変圧器の巻線(銅線)の電気抵抗によって生じる損失です。抵抗を 、電流を とすると、電力損失 の式に従います。この式からわかる通り、電流 が2倍になれば は4倍になり、銅損も4倍となります。
効率が最大となる条件の考え方
変圧器の効率は、入力電力に対する出力電力の比率で表されます。損失が小さいほど効率は良くなります。
変圧器の損失全体は「鉄損 + 銅損」であり、鉄損は一定ですが銅損は負荷とともに変化します。負荷が小さいときは鉄損の割合が大きく、負荷が大きいときは銅損の割合が大きくなります。このとき、一定である鉄損と、負荷によって増減する銅損の大きさが等しくなった瞬間に、損失の合計が最小となり、効率が最大となります。この理論は試験で頻出であり、なぜその条件で効率が最大化されるのかという数学的な根拠を理解しておくことが重要です。
この知識が実務で意味するもの
変圧器の設計や選定において、この効率特性は非常に重要です。例えば、常に一定の大きな負荷がかかる変圧器であれば、最大効率がその負荷付近で得られるように設計します。逆に、負荷の変動が激しい場合や、軽負荷が続く時間が長い場合は、無負荷損(鉄損)を極力小さく抑えることが省エネにつながります。
試験問題としては、単なる計算ミスを誘う引っかけとして出題されやすいポイントです。電流が2倍なら銅損も2倍と直感的に答えさせて間違わせる意図があるため、常に という数式を頭の中に浮かべる癖をつけておくことで、ケアレスミスを防ぐことができます。