第一種電気工事士試験 / 平成25年度 筆記試験 / 問10
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平成25年度 筆記試験 問10 解説 電動機の出力計算

巻上荷重1.96[kN]の物体を毎分60[m] の速さで巻き上げているときの巻上機用電動 機の出力[kW]は。 ただし、巻上機の効率は70[%]とする。

  1. 0.7
  2. 1.0
  3. 1.4
  4. 2.8 ✓ 正答

解説

この問題は、電動機の出力計算における物理的なエネルギー変換の関係式を用いて解きます。

出力 PP [kW] を求める公式は P=F×vηP = \frac{F \times v}{\eta} です。 ここで、FF は力(荷重)[kN]、vv は速度 [m/s]、η\eta は効率(単位なし、%の場合は100で割る)です。

手順は以下の通りです。

  1. 速度を分速 [m/min] から秒速 [m/s] に変換する:v=60 [m/min]÷60=1 [m/s]v = 60 \text{ [m/min]} \div 60 = 1 \text{ [m/s]}
  2. 効率を小数に直す:η=70 [%]=0.7\eta = 70 \text{ [\%]} = 0.7
  3. 式に代入する:P=1.96 [kN]×1 [m/s]0.7=2.8 [kW]P = \frac{1.96 \text{ [kN]} \times 1 \text{ [m/s]}}{0.7} = 2.8 \text{ [kW]}

物理の基本と単位の関係

この問題の核となる考え方は、仕事率(出力)の定義です。仕事とは「力 × 距離」であり、その単位時間あたりの量が「力 × 速度」となります。

第一種電気工事士試験において重要なのは、単位の整合性です。今回の公式において、荷重 FF を [kN]、速度 vv を [m/s] で与える場合、そのまま出力 PP は [kW] となります。もし FF が [N] であれば、10001000 で割る必要があるため、1.96 [kN]=1960 [N]1.96 \text{ [kN]} = 1960 \text{ [N]} として計算しても結果は同じ 2.8 [kW]2.8 \text{ [kW]} になります。

効率 η\eta は、入力されたエネルギーのうち、どれだけが有効な仕事に使われたかを示す割合です。電動機は電気エネルギーを運動エネルギーに変換しますが、その際に摩擦や熱による損失が発生します。そのため、理論上の必要仕事量に対して、実際の電動機の出力は効率分だけ大きく(余裕を持って)設定する必要があります。

計算問題を解くための思考回路

この手の問題に対峙した際、まず確認すべきは「単位の変換」です。 試験では、わざと速度を「毎分」で与えることがよくあります。数式上の速度は「秒速」であるため、無意識にそのまま値を代入しないよう注意が必要です。

次に、「効率による補正」の方向性を考えます。効率が70%(0.7)ということは、入力されたエネルギーがそのまま100%伝わるわけではない、ということです。 もし計算結果が 1.96×0.7=1.3721.96 \times 0.7 = 1.372 のような数値になった場合、「効率を掛けて小さくしてしまった」と気づくことが重要です。巻上機にとって、効率を考慮するということは、損失分を補うために、より大きな出力の電動機が必要になる(=数値が大きくなる)ことを意味します。

電動機選定の現場的意義

この知識は、実際のビルメンテナンスや設備設計の現場で、搬送設備を導入・更新する際に不可欠です。

巻上機(ホイストやエレベーターなど)のモーター容量を選定する際、単に「重さを持ち上げられるか」だけでなく、「目的の速さで持ち上げ続けられるか」という動的なスペックが求められます。この計算で算出された 2.8 [kW]2.8 \text{ [kW]} は、あくまで物理的な仕事率です。実際の現場では、これに加えて始動時の加速力や、機器の耐久性、過負荷耐性を加味した「定格出力」を持つモーターを選定することになります。

試験問題ではシンプルな数値で計算しますが、本質的には「エネルギーがどう変換され、どの程度の損失が生まれるか」という電気技術者としての基礎的な見積もり能力を問うています。

参考リンク

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