平成24年度 筆記試験 問33 解説 高圧受電設備図
問30から問34までは、下の図に関する問いである。 図は、自家用電気工作物(500〔kW〕未満)の高圧受電設備及び動力設備の一部を表した図並びに高圧架空引込線の見取図である。 この図に関する各問いには、4通りの答え(イ、ロ、ハ、ニ)が書いてある。それぞれの問いに対して、答えを一つ選びなさい。 〔注〕図において、問いに直接関係のない部分等は、省略又は簡略化してある。
- イ ✓ 正答
- ロ
- ハ
- ニ
解説
図中の(4)の機器を特定するには、単線結線図上の記号と配置場所に着目します。記号「SC」と記載されており、高圧受電設備においてこの位置に設置されていること、そしてその目的が何であるかを判断基準とします。
高圧受電設備における力率改善の仕組み
工場やビルなどの受電設備には、モータ(誘導電動機)などの遅れ力率を持つ機器が多く接続されています。これらの機器は有効電力だけでなく無効電力も消費するため、そのままでは受電設備の利用効率が低下し、電力会社から供給される電流が増加してしまいます。
そこで、これと逆の特性を持つ進相コンデンサ(SC)を並列に接続します。進相コンデンサは進み無効電力を供給するため、モータが必要とする遅れ無効電力を打ち消すことができ、結果として力率が改善されます。図中の(4)は、動力負荷へ電力を供給する母線側に配置されており、力率改善のための役割を担っています。
機器の配置から読み解く回路の構成
試験問題の図面を見ると、(4)で示された機器の横には「SC」という文字が書かれています。これは英語の「Static Capacitor」の略称であり、日本語で進相コンデンサを指します。
この周辺には他にも関連する機器が配置されていることがあります。例えば、進相コンデンサを投入した際に発生する突入電流の抑制や、高調波による障害を防ぐために直列リアクトルがコンデンサと直列に配置されるのが一般的です。また、コンデンサを切り離した後に残る残留電荷を放電するために放電コイルが並列に設置されることもあります。今回の図面では「SC」という記載が決定的な判断材料となります。
この知識が実務で果たす役割
この問題は、単なる記号の暗記を問うものではなく、高圧受電設備における「電力品質の維持」という実務的な視点を試しています。
電気工事士の実務において、受電設備の設計や保守点検を行う際、力率の管理は非常に重要です。力率が低い状態が続くと、基本料金の割増対象となるだけでなく、配線や変圧器の過熱、電圧降下の増大といったトラブルを招くからです。
図面を見て「これは進相コンデンサだから、メンテナンス時には放電確認が不可欠だ」といった安全上の配慮や、「この容量でどれくらい力率が改善されるか」といった計算根拠を理解できることは、現場で即戦力として働くための基礎となります。高圧受電設備の全体構成図から、各機器が系統の中でどのような役割を果たしているかを論理的に読み解く力が、この試験の合格、そして将来的な技術力の向上に直結します。