平成22年度 筆記試験 問41 解説 高圧受電設備の保護継電器
①で示す機器は。
- イ. 地絡過電圧継電器
- ロ. 過電流継電器
- ハ. 比率差動継電器
- ニ. 地絡方向継電器 ✓ 正答
解説
単線結線図上の保護継電器の記号は、アルファベットや不等号の組み合わせで判別します。今回の問題で示された「I ≧」という記号を見たら、瞬時に「地絡方向継電器(DGR)」と判断できるようになるのが合格への近道です。
継電器記号の識別ルール
保護継電器の図記号は、基本的に「何の変化を検出するか」と「どのように動作するか」の組み合わせで構成されています。
・I > : 過電流継電器(OCR)。電流(I)が一定値を超えた(>)ときに動作します。 ・I ≧ : 地絡方向継電器(DGR)。零相電流と零相電圧の位相を判定し、地絡事故が発生した方向を特定して動作します。 ・OVGR : 地絡過電圧継電器。零相電圧の大きさのみを監視します。 ・比例差動(比率差動): 主に変圧器や発電機の保護に用いられ、入力電流と出力電流の差(比率)を監視します。
今回の図記号に含まれる「I」は電流を、「≧」の記号は方向性を持つ地絡保護のシンボルとして慣習的に用いられています。選択肢にある過電流継電器(I >)と混同しないよう、不等号の種類をしっかり見分けることがポイントです。
試験問題を読み解く視点
試験現場では、すべての継電器を暗記するよりも「それぞれの保護対象が何であるか」を意識することが重要です。
高圧受電設備において、地絡事故はもっとも頻発する事故の一つです。そのため、電力会社との受給点付近には必ずといっていいほど「地絡方向継電器」が設置されます。これは、構内(受電設備側)で発生した地絡事故なのか、あるいは電力会社側の配電線で発生した地絡事故なのかを方向で区別し、自設備の遮断器を不要に開放させないための知恵です。
単線結線図を眺める際は、単に図記号を丸暗記するのではなく、この機器が「どの範囲を守るために、なぜそこにあるのか」という設計思想を想像してみてください。
実務における保護協調の重要性
地絡方向継電器は、高圧受電設備の実務において非常に重要な役割を果たします。もし方向性のない地絡過電圧継電器のみを使用した場合、配電線側で地絡事故が起きた際にも構内の遮断器が動作してしまう「もらい事故」による停電が起こりかねません。
この知識は、電気主任技術者の実務や保安規定の策定、そして何より試験合格後の現場業務において、安定した電力供給を維持するための「必須の教養」となります。試験対策として記号を覚える際は、この「方向を判別する」という機能が、停電範囲を最小限に抑えるための技術であることをセットで理解しておきましょう。