第一種電気工事士試験 / 平成21年度 筆記試験 / 問35
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平成21年度 筆記試験 問35 解説 絶縁耐力試験

高圧電路の絶縁耐力試験の実施方法に関する 記述として、不適切なものは。

  1. イ. 最大使用電圧が 6.9〔kV〕の CV ケーブルを直流 10.35〔kV〕の試験 電圧で実施する。 ✓ 正答
  2. ロ. 試験電圧を印加後、連続して 10 分間に満たない時点で試験電源が 停電した場合は、試験電源が復電後、試験電圧を再度連続して 10 分間印加する。
  3. ハ. 一次側 6〔kV〕、二次側 3〔kV〕の変圧器の一次側巻線に試験電圧を印加 する場合、二次側巻線を一括して接地する。
  4. ニ. 定格電圧 1000〔V〕の絶縁抵抗計で、試験前と試験後に絶縁抵抗 測定を実施する。

解説

この問題は、電気設備技術基準の解釈で定められた「絶縁耐力試験」の試験電圧の計算ルールを問うものです。直流で試験を行う場合、交流での規定値に対して「2倍」の電圧を印加しなければならない点が正解の鍵となります。

試験電圧を導き出す計算ルール

絶縁耐力試験では、対象機器の最大使用電圧に対して一定の倍率をかけた電圧を10分間印加します。

交流で試験を行う場合は、最大使用電圧の1.5倍の電圧を印加します。一方、直流で試験を行う場合は、その交流での値の「2倍」、つまり最大使用電圧の「3倍」の電圧を印加する必要があります。

選択肢イのケースに当てはめると、最大使用電圧6.9 [kV] に対して直流で試験を行うため、試験電圧は 6.9×3=20.7[kV]6.9 \times 3 = 20.7 [kV] となるべきです。選択肢にある10.35 [kV] は交流試験時の電圧(6.9×1.5=10.35[kV]6.9 \times 1.5 = 10.35 [kV])をそのまま直流に適用してしまっているため誤りとなります。

絶縁耐力試験における安全管理と手順

他の選択肢がなぜ適切であるのか、実務的なルールを確認します。

選択肢ロは「試験の連続性」に関する規定です。絶縁耐力試験は対象の絶縁性能を「10分間耐え抜くこと」で証明します。途中で停電し電圧が切れてしまった場合、それまでの印加時間は無効となり、復電後に最初から10分間連続して印加し直す必要があります。

選択肢ハは「保護」の概念です。試験対象(変圧器の一次側巻線)以外に高電圧がかからないよう、二次側巻線を一括して接地することで、電位を固定し安全を確保します。もし二次側を浮かせたままにすると、電磁誘導によって二次側にも高電圧が発生し、絶縁破壊や事故を招く恐れがあるため、必ず接地します。

選択肢ニについては、試験前後の絶縁抵抗測定が重要です。試験前には絶縁不良がないことを確認し、試験後には印加した高電圧によって絶縁状態が悪化(破壊)していないことを確認するため、定格電圧1000 [V] の絶縁抵抗計を用いて測定を行うことが定められています。

実務の現場における絶縁耐力試験の意義

この試験は、新設または修繕後の高圧電気設備が、送電を開始しても耐えうる性能を有しているかを判断する最終試験です。試験電圧の決定を誤ると、合格させるべき機器を絶縁破壊させたり、逆に絶縁が劣化したまま運用を開始して重大な事故を招いたりするリスクがあります。

試験電圧の倍率(交流1.5倍、直流3倍)を正確に記憶することはもちろんですが、なぜその手順をとるのかという背景を理解しておくことが、現場でのトラブルを防ぐための第一歩となります。特に、直流と交流で係数が異なる点は、多くの受験生が混同しやすいポイントですので、計算式をセットで整理しておくことが合格への近道です。

参考リンク

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