第四級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.3) 問20 解説 高調波対策
送信機で発生する高調波がアンテナから発射されるのを防止するため、送信機のアンテナ端子と給電線の間に、どれを挿入すればよいか。次のうちから選べ。
- 1. ラインフィルタ
- 2. 高域フィルタ(HPF)
- 3. 同軸避雷器
- 4. 低域フィルタ(LPF) ✓ 正答
解説
高調波を抑圧するには、必要な信号(基本波)だけを通し、それよりも高い周波数成分(高調波)をカットするフィルタを選びます。つまり、「低い周波数は通す(Low Pass)」という特性を持つ低域通過フィルタ(LPF)を選択するのが正解です。
なぜ高調波をカットする必要があるのか
送信機は本来、目的とする周波数(基本波)だけを電波として発射すべきです。しかし、回路の特性上、基本波の2倍、3倍……という高い周波数成分がわずかに発生してしまいます。これが高調波です。
もし高調波がアンテナからそのまま発射されると、本来割り当てられていない周波数帯で電波を出していることになり、他の通信局やテレビ、無線放送などへ混信(妨害)を与える原因となります。アマチュア無線家には「自分の出した電波で他人の迷惑をかけない」という強い義務があるため、この対策は必須事項とされています。
フィルタの働きと名称の考え方
フィルタの名称は「何を通し、何をカットするか」で決まります。今回の問題に関連する用語を整理しましょう。
・低域通過フィルタ(LPF):低い周波数を通し、高い周波数をカットする。送信機の出口(アンテナ端子側)に挿入し、高調波を阻止するために使います。 ・高域通過フィルタ(HPF):高い周波数を通し、低い周波数をカットする。例えば、テレビのアンテナ線に挿入して、強力なアマチュア無線の電波がテレビに混入するのを防ぐ際などに用いられます。
試験では「高い周波数を消したいのか、低い周波数を消したいのか」を考えるのが判断のポイントです。高調波は「高い周波数」なので、それを消してくれる「低域通過(=高い方を通さない)」フィルタを選ぶという思考プロセスになります。
電波の質を守るための実践知識
この知識は、アマチュア無線の免許を取得した後の実際の運用でも非常に重要です。たとえ出力が低い無線機であっても、高調波による近隣への妨害はトラブルの元となります。
市販されている送信機には多くの場合、あらかじめ内部にLPFが組み込まれています。しかし、古い機材や自作機を使用する場合、あるいは送信出力をより確実にクリーンにしたい場合には、送信機とアンテナの間に外付けのLPFを接続することが推奨されます。
また、この問題は「周波数成分をコントロールする」という通信工学の基礎を問うています。電波を正しく目的の範囲内に留めることは、アマチュア無線という趣味が社会的に認められるために守らなければならない、最も基本的なマナーでありルールでもあります。