第四級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.1) 問19 解説 電波障害の防止対策
アマチュア局から発射された 435〔MHz〕帯の基本 波が、地デジ(地上デジタルテレビ放送 470〜710 〔MHz〕)のアンテナ直下型受信用ブースタに混入し 電波障害を与えた。この防止対策として、地デジア ンテナと受信用ブースタとの間に挿入すればよい のは、次のうちどれか。
- 1. ラインフィルタ
- 2. トラップフィルタ(BEF) ✓ 正答
- 3. 同軸避雷器
- 4. SWR メータ
解説
この問題は、特定の周波数だけを除去したいという目的を理解していれば、迷わず選択できます。正解はトラップフィルタ(BEF)です。
必要な周波数だけを選別するフィルタの知識
アマチュア無線や放送受信において、特定の周波数の電波だけを操作したいときに使うのがフィルタ回路です。試験対策として、以下の3種類の役割を区別しておきましょう。
トラップフィルタ(BEF:帯域阻止フィルタ) 特定の周波数帯域だけを減衰させて、それ以外を通すフィルタです。今回のように、邪魔な電波(435 MHz帯)をピンポイントで消し去りたい場合に最適です。
ローパスフィルタ(LPF) 低い周波数を通し、高い周波数をカットするフィルタです。アマチュア無線機の送信出力から不要な高調波(倍の周波数など)を取り除くのによく使われます。
ハイパスフィルタ(HPF) 高い周波数を通し、低い周波数をカットするフィルタです。テレビアンテナの受信系で、低い周波数帯のノイズが混入するのを防ぐのによく使われます。
なぜトラップフィルタが選ばれるのか
問題文の状況を整理すると、解決すべき課題が見えてきます。
・地デジ放送(470〜710 MHz)はそのまま受信したい ・アマチュア無線の電波(435 MHz)だけがブースタを飽和させたり、誤動作させたりしている
もしここでローパスフィルタを使ってしまうと、低い周波数であるアマチュア無線の電波は通過してしまいます。逆にハイパスフィルタを使おうとしても、地デジの周波数に近い435 MHzを完全にカットするのは困難です。
そこで、特定の周波数帯を「谷」のように減衰させるトラップフィルタの出番となります。これをアンテナとブースタの間に設置することで、地デジの信号には影響を与えず、アマチュア無線の電波だけを遮断できるのです。
無線従事者として身につけるべきトラブル回避能力
この問題は、単なる知識の暗記ではなく、電波障害(TVI:テレビジョン・インターフェアレンス)を引き起こさないための実務的な対策を問うています。
無線局を開局した際、近隣住民からテレビが映りにくいといった相談を受けることがあります。その際、自分の出している電波が相手の受信設備にどのような悪影響を与えているかを推測し、適切なフィルタを選定して設置を提案する能力は、良識ある無線従事者に求められる素養です。
フィルタをどこに挿入するか(アンテナ直下か、テレビの入力端子か)という判断も含め、この問題の背景には「不要な電波を排除し、健全な通信・放送環境を維持する」という無線工学の基本的な責任感が根底にあります。