第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.3) 問26 解説 ダイポールアンテナの電流
半波長ダイポールアンテナの放射電力を 12〔W〕にするためのアンテナ電流の値として、最も近いのは次のうちどれか。ただし、熱損失となるアンテナ導体の抵抗分は無視するものとする。
- 1. 0.4〔A〕 ✓ 正答
- 2. 0.8〔A〕
- 3. 1.2〔A〕
- 4. 1.6〔A〕
解説
電力 、電流 、抵抗 の関係式 を使い、放射抵抗 を代入して電流 を求めます。計算式は となります。
ダイポールアンテナの放射抵抗
アンテナは電波を空間に放出するために、電気エネルギーを電磁波に変換します。このとき、アンテナ自体が抵抗を持っているかのように電気的な負荷として作用します。これを放射抵抗と呼びます。
半波長ダイポールアンテナ(長さが波長の半分であるアンテナ)を自由空間に設置した場合、その放射抵抗は理論上約 73 オームとなります。この値はアマチュア無線の試験において定数として覚えておくべき重要な数字の一つです。なお、実際のアンテナは地面や周囲の構造物の影響を受けるため、この値が変動することもありますが、試験問題では常に 73 オームとして計算します。
計算問題を解くためのステップ
まず、問題文から与えられた数値を確認します。ここでは電力が 12 ワットと示されています。次に、このアンテナが「半波長ダイポールアンテナ」であることを手がかりに、放射抵抗が 73 オームであるという隠れた情報を導き出します。
公式 を変形すると となり、さらに両辺の平方根をとることで という形に変形できます。この式に数値を当てはめると を で割る計算になります。電卓が使えない試験ですので、概算で考えるのがコツです。 はおおよそ 、つまり に近い値です。 はおよそ ですから、その平方根である を二乗すると になるという逆算から、正解が導き出せます。
アンテナ設計における電力と電流の理解
この知識は、実際に無線局を開局してアンテナを自作したり、運用したりする場面で非常に重要です。例えば、送信機の出力をどの程度に設定すれば、給電線やアンテナの素子にどのくらいの電流が流れるかを想定できます。
電流が流れるということは、導体には熱が発生する可能性があるということです。問題文では「熱損失となる抵抗分は無視する」とありますが、実際の運用では導体自体の抵抗による損失や、インピーダンスの不整合による反射なども考慮する必要があります。理論上の理想的な状態を計算で把握しておくことは、運用中の異常発熱や、効率的な給電システムを構築するための基本的な「物差し」を持っていることと同義です。