第三級アマチュア無線技士 / 第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.3) / 各問題解説 / 問25
certification-simodake-work

第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.3) 問25 解説 電信送信機の出力波形

設問図

電信送信機において、出力波形が概略以下の図のようになる原因は、次のうちどれか。

  1. 1. 電源の容量が小さい。
  2. 2. キークリックが生じている。
  3. 3. 電鍵回路のリレーにチャタリングが生じている。
  4. 4. 寄生振動が生じている。 ✓ 正答

解説

波形の頂部や側面に、本来の信号とは別の細かなヒゲ状の振動が重なっている図を見たら、「寄生振動」と即答できるようにしましょう。キーイングの立ち上がりや立ち下がりではなく、信号が安定して出ている最中(あるいは全体)に異常なノイズが乗っていることが、この図から読み取るべき最大のポイントです。

寄生振動(パラジティック発振)とは

寄生振動とは、無線機が本来意図した周波数とは全く無関係に、意図せず発生してしまう高周波発振のことです。電子回路の内部には、配線のわずかなインダクタンスや、部品間の小さな静電容量が隠れています。これらが予期せぬ共振回路を構成してしまい、本来の出力波形に別の周波数の振動を重ねてしまいます。

この現象は、増幅器の設計において非常に厄介な問題です。真空管やトランジスタの増幅能力が高い領域で発生しやすく、送信機の出力が不安定になったり、不要な電波をまき散らして混信の原因になったりします。

波形から原因を見抜くプロセス

試験問題で波形の異常を問われた際は、異常が発生している「場所」に着目します。

  1. 波形の立ち上がりや立ち下がりにヒゲがある場合:これは「キークリック」と呼ばれ、キーイングの速度が速すぎるか、整形回路が不十分なために発生するクリック音です。
  2. 波形全体、あるいは平坦なはずの部分に細かな波打ちがある場合:これが今回のような「寄生振動」です。回路が不要な発振を起こし、本来の搬送波に別の信号を混ぜてしまっている状態です。
  3. 波形がガタガタと途切れるような場合:これはリレーの「チャタリング」や電源の「電圧降下」などが疑われます。

このように、出力波形の「どの部分がどう乱れているか」という特徴を把握することで、回路の不具合の原因を切り分けることができます。

実務や技術向上における意義

この知識は、実際に無線機を製作したり、古い無線機を修理したりする際に極めて重要です。寄生振動が発生していると、出力計の針が小刻みに振れたり、自分では出した覚えのない異常なスプリアス(不要な電波)が近隣の周波数に漏れ出したりします。

実際、アマチュア無線家が自作の送信機を調整する際には、オシロスコープやスペクトラムアナライザを用いて、このような波形を確認します。もし寄生振動が見つかれば、部品の配置を変えたり、抵抗(パラジティック・サプレッサー)を回路に挿入したりして、不要な発振を抑え込む工夫をします。電波法を守り、健全な通信環境を維持するために、無線従事者はこうした波形の異常を即座に見抜くセンサーを磨いておく必要があるのです。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう