第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.1) 問27 解説 アンテナの共振
長さが8〔m〕の1/4波長垂直接地アンテナを用いて、周波数が7,050〔kHz〕の電波を放射する場合、この周波数でアンテナを共振させるために一般的に用いられる方法で、正しいのは次のうちどれか。
- 1. アンテナの接地抵抗を大きくする。
- 2. アンテナに抵抗を直列に接続する。
- 3. アンテナにコンデンサを直列に接続する。
- 4. アンテナにコイルを直列に接続する。 ✓ 正答
解説
この問題は、アンテナの物理的な長さと電気的な長さのズレを、リアクタンス成分で補正するという原理に基づいています。正解を導くための鍵は、現在のアンテナが電気的にどのような性質を持っているかを見抜くことです。
短いアンテナはコンデンサとして振る舞う
理想的な1/4波長垂直接地アンテナの長さ(L)は、波長(λ)を用いて となります。7,050 kHzの波長を求めると約42.5 mであり、その1/4は約10.6 mです。しかし、問題にあるアンテナの長さは8 mしかありません。
本来必要な長さよりも短いアンテナは、電気的には「容量性リアクタンス」を持つコンデンサのような性質を示します。つまり、アンテナとしての共振条件から外れ、そのままでは効率よく電波を放射できません。この状態を解消し、共振状態(リアクタンスがゼロの状態)に持ち込むためには、容量性リアクタンスを打ち消す「誘導性リアクタンス」を外部から加える必要があります。この誘導性成分を持つ部品が「コイル(ローディングコイル)」です。したがって、コイルを直列に挿入することで、電気的にアンテナを長く見せ、共振させることが可能となります。
思考のステップ:長さをリアクタンスに変換する
この問題を解く際には、以下の3つのステップで考えます。
- アンテナの長さが共振周波数に対して「短い」のか「長い」のかを判断する。今回は8 mなので、本来の約10.6 mよりも明らかに「短い」。
- 「短いアンテナ=容量性(コンデンサ的)」という関係性を思い出す。
- 容量性を打ち消すためには、逆の性質である「誘導性(コイル的)」を直列に入れる必要があると判断する。
逆に、もしアンテナが長すぎてしまった場合は、誘導性リアクタンスを打ち消すためにコンデンサを直列に接続するのが正解となります。
無線運用における実践的意義
この知識は、アマチュア無線の現場において「アンテナチューナー」の仕組みを理解する上で非常に重要です。アンテナの設置場所が狭く、どうしても十分な長さのアンテナを張れない場合、あるいはマルチバンド運用でアンテナの長さを物理的に変えられない場合に、コイルを用いて電気的に長さを調整する手法は非常に一般的です。
移動運用などで持ち運びやすい短いアンテナを利用する際、この「短縮コイル」の考え方を知っていれば、SWR(定在波比)を低く抑え、無線機に負担をかけずに電波を飛ばすための調整が理論的に理解できるようになります。試験問題としては単純な選択肢の選定ですが、アンテナのリアクタンスを制御するという概念は、実際のアンテナ設計や運用技術の基本となる考え方です。