第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.1) 問19 解説 トランジスタの動作
図に示すエミッタ接地増幅回路において、コレクタ電圧Vcを一定にして、ベース電圧Vbを大きくしていくと、コレクタ電流Icの大きさはどのように変わるか。以下から選べ。
- 1. 急激に減少していく。
- 2. 次第に減少していく。
- 3. ほとんど変わらない。
- 4. 急激に増加していく。 ✓ 正答
解説
この問題は、トランジスタの「増幅作用」の核心を突く問いです。ベース電圧を上げるとベース電流が増加し、その何十倍、何百倍ものコレクタ電流が流れるという特性を理解していれば、選択肢の中から「急激に増加していく」を選ぶことができます。
トランジスタの電流制御の仕組み
トランジスタ、特に一般的なバイポーラトランジスタは、小さな電流で大きな電流を制御する「電流制御素子」です。
ベースとエミッタの間に電圧を加えると、わずかなベース電流()が流れます。このベース電流が流れると、トランジスタ内部ではコレクタからエミッタに向かって、ベース電流の電流増幅率()倍という大きなコレクタ電流()が流れるようになります。この関係式は で表されます。
つまり、ベース電圧を高くしてベース電流を少し増やしてあげると、その増分が倍されてコレクタ側に現れるため、コレクタ電流は極めて敏感に、急激に反応して増加することになります。
電圧変化と電流変化の連鎖を追う
この問題を解くための思考プロセスは、以下のステップで進めると確実です。
- ベース電圧()を大きくする。
- ベース・エミッタ間に流れる電流()が増える。
- トランジスタの増幅作用により、コレクタ電流()が の 倍分だけ増加する。
- 電流増幅率は非常に大きいため、結果として は「急激に」増加するという結論に至る。
増幅回路において、トランジスタは非常にわずかな入力信号(ベース側の電圧変化)を捉えて、大きな出力(コレクタ側の電流変化)を取り出す役割を担っています。もしこの反応が鈍かったり、あるいはほとんど変わらなかったりすれば、トランジスタは増幅器として機能しません。
増幅回路の本質を知る
この知識は、アマチュア無線における送信機や受信機の回路を理解する上で避けて通れないものです。私たちが普段使用しているマイクの音声信号などの微弱な電気信号は、そのままではアンテナを動かすほどの大きなパワーを持っていません。
トランジスタのこの「入力のわずかな変化で大きな出力(電流)をダイナミックに操る」という性質を利用することで、微弱な信号を電波として飛ばせるレベルまで引き上げています。この試験問題は、単なる知識の暗記を求めているのではなく、電子回路の最も基礎となる「増幅」という現象が、電圧の調整によってどのように引き起こされるのかという基本概念を理解しているかを問うています。この原理を頭に入れておくことで、より複雑な送信機や変調回路の構成図を見たときにも、信号の流れをスムーズに追いかけることができるようになるはずです。