第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.1) 問18 解説 ダイオードの特性
次の記述の[ ] 内に入れるべき字句の組合せで、正しいのはどれか。 (1)加える電圧により、静電容量が変化することを利用するものは、[ A ] である。 (2)逆方向電圧を加えると、ある電圧で電流が急激に流れ、電圧がほぼ一定となることを利用するものは、[ B ] ダイオードであり、図記号は [ C ] で表される。
- 1. バラクタダイオード、ツェナー、図2 ✓ 正答
- 2. バラクタダイオード、トンネル、図1
- 3. バリスタ、ツェナー、図1
- 4. バリスタ、トンネル、図2
解説
この問題を解くためのポイントは、ダイオードの種類とその主な機能、および図記号の特徴を一致させることです。
・(1)静電容量が変化する性質=バラクタダイオード ・(2)逆方向電圧で一定電圧を保つ=ツェナーダイオード ・図記号:左側が静電容量(コンデンサ)を模した図1(バラクタ)、右側がカソード側が曲がった図2(ツェナー)
以上の組み合わせから、正解は1番となります。
各ダイオードの役割と性質
アマチュア無線の試験において、ダイオードは単なる整流器(電流を一方向に流す素子)としての役割だけでなく、特定の性質を利用した「特殊なダイオード」の知識が問われます。
バラクタダイオード(可変容量ダイオード)は、加える逆バイアス電圧を変えることで、素子内部の静電容量が変化する性質を持っています。これは同調回路などで、電圧を変化させて受信周波数を変える(電子チューニング)用途に非常に便利です。図記号にはコンデンサの記号が添えられているため、容量に関係するものだと視覚的に覚えましょう。
ツェナーダイオードは、ある一定の電圧(ツェナー電圧)を超えると、逆方向に急激に電流が流れる性質を持っています。この特徴を利用すると、入力電圧が変動しても出力電圧を一定に保つ「定電圧回路」を構成できます。電源回路の安定化に不可欠な素子です。図記号では、カソード側の線が「Z」の文字を彷彿とさせるように曲がっているのが特徴です。
試験で役立つ思考プロセス
問題を解く際は、まず設問のキーワードから素子を特定します。
- 「静電容量が変化」ときたら「バラクタ」と即座に連想してください。「容量=キャパシタンス」から名前が来ています。
- 「逆方向電圧で一定電圧」ときたら「ツェナー」を選びます。これは定電圧の代名詞的な素子です。
- 最後に図記号を確認します。提示された図2は、カソード側がZ字のように曲がっており、これがツェナーダイオードの標準的な記号です。
このように、機能と用語をセットで暗記しておけば、選択肢を絞り込むスピードが飛躍的に上がります。バリスタはサージ電圧などから回路を保護する素子であり、トンネルダイオードは非常に高速なスイッチングなどが可能な特殊な素子ですが、今回の設問文の定義には当てはまりません。
実践の現場で考えるダイオードの役割
これらの素子は、アマチュア無線機の中に組み込まれている電子回路の基礎を支えています。
例えば、皆さんが無線機でダイヤルを回して周波数を変えるとき、バラクタダイオードに加える電圧を変化させることで、高周波回路の同調周波数を調整しています。また、無線機の安定した動作を支える電源ユニットには、ツェナーダイオードやそれを利用した定電圧ICが必ずと言っていいほど使われています。
この問題は、無線機がどのような仕組みで電波を受信・送出し、回路を安定させているかという、電子機器の基礎理解を問うものです。単なる暗記にとどまらず、これらのパーツが無線機の中でどのような仕事をしているのかをイメージできると、無線工学の理解がより深まります。