第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.3) 問22 解説 静止衛星通信の特徴
静止衛星通信についての記述として、正しいのはどれか。次のうちから選べ。
- 1. 衛星の太陽電池の機能が停止する食は、夏至及び冬至の時期に発生する。
- 2. 使用周波数が低くなるほど、降雨による影響が大きくなる。
- 3. 静止衛星通信では、極軌道衛星が用いられている。
- 4. 地上での自然災害の影響を受けにくい。 ✓ 正答
解説
選択肢の判断と正解の導き方
この問題は、静止衛星通信の特性に関する正しい記述を一つ選ぶ形式です。判断のポイントは「地上での災害に左右されない」という衛星通信の最大の強みを直感的に捉えられるかどうかです。誤った選択肢については、科学的な事実(食の時期、降雨減衰、軌道の種類)と照らし合わせることで排除可能です。
静止衛星通信の強みと災害への耐性
静止衛星通信の最大の特徴は、地上約3万6千キロメートルの高度に位置する人工衛星を中継局として利用する点にあります。地震、津波、台風などの災害が発生すると、地上の無線局やケーブル網は壊滅的な被害を受けることがありますが、衛星通信は地上インフラに依存しないため、大規模災害時でも安定した通信路を確保できます。これが、なぜ選択肢4が正解であるかの核心的な理由です。
誤った選択肢を排除する知識
選択肢1から3までがなぜ誤りであるかを理解することで、衛星通信の全体像をより深く把握できます。
食(衛星が地球の影に入ること)の発生時期 衛星が太陽電池で発電できなくなる「食」は、太陽と地球と衛星が一直線上に並ぶ春分と秋分(3月と9月頃)の時期に発生します。夏至や冬至ではありません。この時期、衛星はバッテリー駆動に切り替わるため、通信を維持するための電力管理が重要となります。
周波数と降雨減衰の関係 衛星通信で使用される高い周波数帯(準ミリ波やミリ波など)では、雨粒の大きさが電波の波長に近くなるため、電波が雨粒に吸収・散乱されて減衰する現象が発生します。したがって、「周波数が低くなるほど影響が大きい」という記述は誤りであり、実際には「周波数が高くなるほど影響が大きくなる」が正解です。
静止軌道と極軌道 静止衛星は赤道上空を地球の自転に合わせて周回する「静止軌道」を利用します。一方、極軌道衛星は北極と南極の上空を通過する軌道をとります。極軌道は地球の全体を観測するのに適していますが、常に特定の位置に留まる静止通信には不向きです。
試験対策としての知識の整理
この問題は、単に正解を覚えるだけでなく、衛星通信が「なぜ過酷な環境でも使われるのか」という工学的な背景と、「物理的な制約(降雨減衰や食)」の両面を理解しているかを問うています。
試験本番では、まず「災害に強い」という衛星通信の最も有名な特性を想起し、それが選択肢4にあることを確認します。次に他の選択肢を読み、知識として定着している「春分・秋分」「高周波数ほど減衰」といったキーワードと矛盾がないか照合することで、確実に正解を導くことができます。実務においても、衛星通信システムを設計・導入する際には、これらの気象条件や電力供給の制約を考慮することが必須となります。