第三級陸上特殊無線技士 / 第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.1) / 各問題解説 / 問17
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第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.1) 問17 解説 蓄電池の動作時間

端子電圧6〔V〕、容量(10時間率)60〔Ah〕の充電済みの鉛蓄電池に、6〔A〕で動作する装置を接続すると、通常、何時間まで連続動作をさせることができるか。次のうちから選べ。

  1. 1. 2 時間
  2. 2. 3 時間
  3. 3. 6 時間
  4. 4. 10 時間 ✓ 正答

解説

鉛蓄電池が動作する時間は、電池の容量(Ah)を流れる電流(A)で割ることで求められます。本問では、容量が 60 Ah、放電電流が 6 A であるため、60 を 6 で割った 10 時間が正解となります。電圧の 6 V は計算には使用しません。

蓄電池の容量を表す単位「Ah」の意味

電気の世界において、蓄電池(バッテリー)の体力を示す最も重要な指標の一つが容量です。この容量を表す単位として用いられるのが「Ah(アンペアアワー)」です。

Ahは、電流(A:アンペア)と時間(h:アワー)を掛け合わせたものです。例えば、1 Ah の容量を持つバッテリーは、理論上 1 A の電流を 1 時間流し続けることができます。同様に、0.5 A であれば 2 時間、2 A であれば 0.5 時間(30分)使うことができます。

このように、容量(Ah)と放電電流(A)、そして動作時間(h)の間には、以下のシンプルな関係式が成り立ちます。

動作時間(h)= 容量(Ah)/ 放電電流(A)

10時間率という言葉の補足

問題文にある「容量(10時間率)60 Ah」という表記について解説します。

鉛蓄電池は、急激に大きな電流を取り出そうとすると、化学反応が追いつかずに取り出せる電気の量が減ってしまうという特性を持っています。そのため、蓄電池の容量を規定する際には、あらかじめ「これくらいの時間をかけてゆっくり放電したときの容量です」という基準を定めています。これが「時間率」です。

10時間率(10HR)とは、10時間かけて放電させる場合の基準を指します。60 Ah(10時間率)ということは、60 Ah を 10 時間で割った 6 A の電流を流し続けたときに、ちょうど10時間で空になる容量であることを意味しています。

本問では、放電電流がこの基準と同じ 6 A に設定されているため、蓄電池の本来のパフォーマンスをそのまま発揮して 10 時間動作させることができます。

計算を組み立てる手順

この問題を解く際の思考ステップは、非常にシンプルです。

まず、問題文から必要な数値を抜き出します。

  • 電池の容量:60 Ah
  • 接続する装置の電流:6 A
  • 端子電圧:6 V(今回は使用しないダミーデータ)

次に、求めたい「動作時間」を導くために、容量の単位である「Ah」に着目します。 数式(Ah)から電流(A)を打ち消して時間(h)を残すためには、割り算を行えばよいことが直感的に理解できます。

60 Ah / 6 A = 10 h

この計算により、10時間という結論が導き出されます。

電圧の 6 V という数値は、装置を動かすために必要な電圧が足りているかを確認するための情報ですが、持続時間を計算する上では使用しません。無線従事者試験では、このように計算に不要な数値が問題文に含まれていることがよくあるため、必要な情報だけを選び出す冷静さが求められます。

実務におけるバッテリー管理と無線従事者への期待

この知識は、災害時の非常用電源や、山岳地帯に設置された無線中継局のバッテリー運用設計において極めて重要です。

無線従事者は、万が一商用電源が停電した際にも、無線設備がどれだけの時間維持できるかを把握していなければなりません。例えば、消費電流 6 A の無線局を、停電後も 10 時間は確実に動作させたい場合、最低でも 60 Ah の容量を持つバッテリーを用意する必要がある、といった設計・判断を現場で行うことになります。

実際の現場では、バッテリーの劣化による容量低下や、自己放電、周囲の温度変化による容量減少なども考慮し、計算値よりも余裕を持った(マージンを確保した)設計を行います。本問のような基本計算は、そうした安全な無線局運用を計画するための第一歩となる重要な基礎知識です。

参考リンク

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