令和8年度 上期 学科試験 問21 解説 屋内配線工事の施工法
木造住宅の単相 3 線式 100/200 V 屋内配線工事で,不適切な工事方法は。 ただし,使用する電線は 600 V ビニル絶縁電線,直径 1.6 mm (軟銅線) とする。
- イ. 合成樹脂製可とう電線管 (CD 管) を木造の床下や壁の内部及び天井裏に配管した。 ✓ 正答
- ロ. 合成樹脂製可とう電線管 (PF 管) 内に通線し,支持点間の距離を 1.0 m で造営材に固定した。
- ハ. 同じ径の硬質ポリ塩化ビニル電線管 (VE) 2本を TS カップリングで接続した。
- ニ. 金属管を点検できない隠ぺい場所で使用した。
解説
合成樹脂製可とう電線管であるCD管とPF管の耐燃性の違いを把握しているかが問われる問題です。CD管は自消性がなく燃えやすいため、コンクリート埋設専用であり、木造住宅の床下や壁内、天井裏などの隠ぺい場所や露出場所には使用できません。したがって、不適切な工事方法を選んでいるイが正解となります。
合成樹脂管の特性と施工場所の指定ルール
屋内配線で使用される合成樹脂管には、主にCD管、PF管、VE管の3種類があり、それぞれ特性と使用できる場所が明確に決められています。
CD管(Combined Duct)は、オレンジ色をした蛇腹状の可とう管です。材料に耐燃性(火に当たっても燃え広がりにくく、火元から離すと自然に消える性質)がないため、周囲を不燃物で囲まれるコンクリート埋設用として定められています。木造住宅の床下、壁内、天井裏といった隠ぺい場所や、壁の表面などの露出場所にそのまま配管することは法令で禁止されています。
PF管(Plastic Flexible conduit)は、主にグレーやベージュ、黒色などをした蛇腹状の可とう管です。CD管とは異なり耐燃性(自消性)を持っているため、コンクリート埋設だけでなく、木造住宅の隠ぺい場所(床下、壁内、天井裏)や露出場所など、ほぼすべての場所で使用できます。PF管を造営材(柱や壁など)に固定する際の支持点間距離は1.5 m以下と規定されています。
VE管(硬質ポリ塩化ビニル電線管)は、折り曲げられない直管タイプの合成樹脂管です。耐燃性を持ち、露出配線や隠ぺい配線に使用されます。管同士を接続する際には、専用の継手であるTSカップリングなどを使用します。接着剤を使用する場合は管の外径の0.8倍以上(接着剤を使用しない場合は1.2倍以上)深く差し込んで接続します。
選択肢の適否を判定する考え方
選択肢イについて、CD管を木造の床下や壁の内部、天井裏に配管しています。CD管は耐燃性を持たないため、木造建築物の隠ぺい場所に施工することは認められていません。このような場所にはPF管を使用する必要があります。したがってイは不適切です。
選択肢ロについて、PF管を使用し、支持点間の距離を1.0 mで造営材に固定しています。PF管の支持点間距離の基準は1.5 m以下です。1.0 mは基準を満たしているため、適切な工事方法です。
選択肢ハについて、同じ径の硬質ポリ塩化ビニル電線管(VE)2本をTSカップリングで接続しています。VE管相互を直線で接続する際、TSカップリングを使用することは標準的な施工方法であり、適切な工事方法です。
選択肢ニについて、金属管を点検できない隠ぺい場所で使用しています。金属管は非常に堅牢で、万が一の電線短絡時にも外部へ火災が拡大するリスクが低いため、点検できない隠ぺい場所(壁の内部や天井裏など)にも施工が認められています。したがって適切な工事方法です。
現場で事故を防ぐ電線管選定と施工基準の意義
この問題は、電気工事の現場において最も重要な安全対策の一つである「火災防止」に関する施工知識を問うています。
電気配線では、漏電や過電流による発熱、ショート(短絡)時の火花など、常に発火のリスクが存在します。燃えやすい木材で構成されている木造住宅の内部(壁裏や天井裏)に耐燃性のないCD管を使用すると、内部で万が一ショートが発生した際に、電線管自体が燃え上がり、そのまま木造の造営材へ火が移って大惨事につながる危険があります。
そのため、施工現場では配管の色と種類を一目で確認できるようにルール化されています。鮮やかなオレンジ色のCD管を見かけたら「コンクリートに埋め込む場所専用」、グレーやアイボリーなどのPF管を見かけたら「隠ぺい部や露出部で使える耐燃性のある管」と瞬時に見分けることができます。
電気工事士は、施工のしやすさだけでなく、建物とそこに住む人の安全を守るために、適切な耐燃性を持つ材料を正しく選定する役割を担っています。