令和7年度 下期 第二種 学科試験 問23 解説
電磁的不平衡を生じないように,電線を金属管に挿入する方法として,適切なものは。
- イ. ✓ 正答
- ロ.
- ハ.
- ニ.
解説
この問題は、「往復の電流(または往復の電線)が同一の金属管の中を通っているか」を確認するだけで解けます。電磁的不平衡を防ぐためには、回路を構成するすべての電線を「一つの金属管」に収める必要があります。
なぜ「同一管内」に入れる必要があるのか
電気は往路を通って負荷に流れ、復路を通って電源に戻ります。このとき、電流が流れる周りには磁界が発生します。
金属管を使用する場合、もし一部の電線だけを別の管に入れたり、バラバラに管に入れたりすると、行きと帰りの電流による磁界が打ち消し合わず、金属管自体が磁化されて過熱したり、誘導電圧が発生したりします。これを「電磁的不平衡」と呼びます。
すべての電線を同じ管の中に通せば、それぞれの電流が作る磁界は互いに打ち消し合うため、金属管への悪影響を最小限に抑えることができます。
図の見方と正解の根拠
試験で図を見て判断する際は、以下のルールを意識しましょう。
- 「一つの回路」を構成する電線が、一つの金属管にまとまっているか?
イの図: 三相3線式であれば、3本の電線がすべて1つの管の中に通っています。これにより、発生する磁界が打ち消し合うため、適切な施工といえます。(※単相用配線の方も往復が同一管内に収まっています)
ロ・ハ・ニの図(不適切な例): これらは、往路と復路の電線が別々の管に分かれて通されていたり、一部の電線が別の管を通っていたりします。これでは電流の打ち消し合いが起こらず、金属管が発熱する原因となります。特にニのように、三相3線式の各相を別々の金属管に収めるような施工は、「鉄損」が発生し金属管が非常に熱くなるため、絶対に行ってはいけません。
現場で役立つ知識
この知識は、単なる試験対策だけでなく、実際の電気工事の現場でも非常に重要です。
- 過熱事故の防止: 大電流が流れる幹線工事において、このルールを無視して電線をバラバラに管に通すと、金属管が異常発熱し、被覆の焼損や火災につながる危険性があります。
- 誘導障害の防止: 金属管以外でも、単芯ケーブルを施工する際などに電磁誘導が問題となることがあります。
「回路の全電線を1本にまとめる」というルールは、安全な電気設備を作るための鉄則として覚えておきましょう。