令和7年度 下期 第二種 学科試験 問19 解説
低圧屋内配線工事で、600Vビニル絶縁電線(軟銅線)をリングスリーブ用圧着工具とリングスリーブ(E形)を用いて終端接続を行った。接続する電線に適合するリングスリーブの種類と圧着マーク(刻印)の組合せで、不適切なものは。
- イ. 直径2.0mm 3本の接続に、中スリーブを使用して圧着マークを中にした。
- ロ. 直径1.6mm 3本の接続に、小スリーブを使用して圧着マークを小にした。
- ハ. 直径2.0mm 2本の接続に、中スリーブを使用して圧着マークを中にした。 ✓ 正答
- ニ. 直径1.6mm 1本と直径2.0mm 2本の接続に、中スリーブを使用して圧着マークを中にした。
解説
この問題は、リングスリーブ(E形)のサイズ選定と、圧着工具で刻印される「圧着マーク」の適切な組み合わせを判断できるかを問うています。
解法のポイントは、各電線の太さを「断面積()」に換算して合計することです。
1. 電線サイズの換算と判定基準
リングスリーブの選定では、直径(mm)で表記された電線を以下の断面積に置き換えて計算します。
flowchart TD
A[電線本数と太さを確認] --> B[1.6mm→2.0mm² / 2.0mm→3.5mm²に換算]
B --> C[合計断面積を計算]
C --> D{合計は?}
D -->|1.6mm×2本のみ| E[小スリーブ・刻印○]
D -->|3.5超〜8.0以下| F[小スリーブ・刻印小]
D -->|8.0超〜14.0以下| G[中スリーブ・刻印中]
D -->|14.0超| H[大スリーブ・刻印大]- 1.6mm ≒ 2.0
- 2.0mm ≒ 3.5
合計断面積に基づき、以下の基準でスリーブと刻印を決定します。
| 合計断面積の範囲 | リングスリーブのサイズ | 圧着マーク(刻印) |
|---|---|---|
| 1.6mm × 2本のみ | 小 | ○(極小) |
| 3.5 超 ~ 8.0 以下 | 小 | 小 |
| 8.0 超 ~ 14.0 以下 | 中 | 中 |
| 14.0 超 | 大 | 大 |
2. 各選択肢の検証
換算値を用いて、合計断面積と適切な組み合わせを確認します。
イ. 直径2.0mm × 3本
- 計算:3.5 × 3 = 10.5
- 判定:8.0超~14.0以下の範囲なので、「中スリーブ・刻印 中」で正しい。
ロ. 直径1.6mm × 3本
- 計算:2.0 × 3 = 6.0
- 判定:3.5超~8.0以下の範囲なので、「小スリーブ・刻印 小」で正しい。
ハ. 直径2.0mm × 2本(不適切)
- 計算:3.5 × 2 = 7.0
- 判定:3.5超~8.0以下の範囲なので、本来は**「小スリーブ・刻印 小」**が適切です。中スリーブを使用するのは誤りです。
ニ. 直径1.6mm × 1本 + 直径2.0mm × 2本
- 計算:2.0 + (3.5 × 2) = 9.0
- 判定:8.0超~14.0以下の範囲なので、「中スリーブ・刻印 中」で正しい。
3. 試験で狙われる重要ポイント
この分野の問題では、今回の正解(ハ)のように「小スリーブで済むところに中スリーブを使っていないか」というパターンのほか、以下の2点も頻出です。
①「○(極小)」マークのルール
「1.6mm電線が2本だけ」の接続のときのみ、スリーブは「小」を使い、刻印は**「○(マル)」**にします。これを「刻印 小」と記述している選択肢は誤り(不適切)となります。
② 1.6mmと2.0mmの混在
「1.6mm × 1本 + 2.0mm × 1本」の組み合わせは、合計 5.5 となり、「小スリーブ・刻印 小」になります。 2.0mmが入ると反射的に「中」を選びたくなりますが、合計が8.0 を超えない限りは「小」サイズであることを忘れないようにしましょう。
4. 技能試験へのつながり
この知識は筆記試験だけでなく、その後の「技能試験(実技)」において必須の知識です。技能試験では、電線に適合しないスリーブの使用や、間違った圧着マークでの施工は、その時点で即「欠陥(不合格)」となります。
筆記試験の段階で**「1.6mm=2」「2.0mm=3.5」という数値と、「8と14」**という境界線をセットで覚えておくと、得点源にできるだけでなく実技の練習もスムーズに進みます。