令和7年度 下期 第二種 学科試験 問6 解説
図のような三相3線式回路について,図中のX印の箇所で断線した場合,負荷の全消費電力[kW]は。ただし,負荷の抵抗は,30Ωとし,配線の抵抗は無視し,電源電圧は一定とする。
- イ. 0.7
- ロ. 0.9
- ハ. 1.3
- ニ. 2.0 ✓ 正答
解説
この問題は、三相交流回路のうちの1線が断線したときに、残された回路がどのような「単相交流回路」として動作するかを見極めるのがポイントです。
【解き方の手順】
- 断線によって電力が供給されなくなった線を無視し、回路図を書き換える。
- 残った負荷(抵抗)の合成抵抗 を求める。
- 公式 を使って全消費電力を計算する。
断線後の回路構成を正しく把握する
図の三相3線式回路( 結線)において、一番上の線(X印)が断線すると、電源からの電流は下の2線(線間電圧 200V)のみから供給されることになります。
このとき、負荷の30Ωの抵抗3個は、以下のような接続に変わります。
- 一番下の抵抗(30Ω):電源の2線に直接つながっている。
- 左上と右上の抵抗(30Ω + 30Ω):これら2つは直列につながり、その全体が電源の2線につながっている。
つまり、「30Ωの抵抗」と「60Ω(30+30)の抵抗」が並列に並んだ単相2線式回路として考えることができます。
合成抵抗の計算
この並列回路の合成抵抗 を求めます。並列接続の合成抵抗の公式「和分の積」を使います。
回路全体の負荷は であることがわかりました。
全消費電力の計算
電源電圧は で一定ですので、電力 の公式に当てはめます。
単位を に直すと、
したがって、正解は ニ となります。
flowchart TD A[Δ結線で1線断線] --> B[残る2線間で給電 200V] B --> C1[枝1: 30Ω] B --> C2[枝2: 30Ω+30Ω=60Ω] C1 --> D[並列合成<br/>R0=(30×60)/(30+60)=20Ω] C2 --> D D --> E[全消費電力<br/>P=V²/R0=200²/20=2000W=2.0kW]
この問題で使われる知識と注意点
この問題は、第二種電気工事士試験における「三相3線式回路の異常時計算」の定番パターンです。以下の3点を整理して覚えておきましょう。
1. デルタ()結線とスター()結線の違い 今回はデルタ結線ですが、もしスター結線の中心以外の1線が断線した場合は、残りの2つの抵抗が単純な直列回路になります。どの線が切れたらどの抵抗が生き残るか、指で回路をなぞって確認するクセをつけましょう。
2. 消費電力の公式の使い分け 電力を求める公式には , , の3つがありますが、今回のように「電圧が一定(200V)」で「抵抗値がわかっている」場合は、 を使うのが最も計算ミスが少なく、早いです。
3. 実務への応用 三相モーターなどの負荷を使用している際、1線が断線することを「欠相(けっそう)」と呼びます。欠相状態になると、モーターは正常に回転できず、残った巻線に過大な電流が流れて焼き切れてしまう原因になります。試験では計算問題として出ますが、実務では非常に危険な故障状態であることを意識しておくと、記憶に残りやすくなります。