令和8年度上期 学科試験 問23 解説 避雷器の役割
写真の機器の矢印で示す部分の主な役割は。
- イ. 高圧電路の地絡保護
- ロ. 高圧電路の過電圧保護 ✓ 正答
- ハ. 高圧電路の高調波電流抑制
- ニ. 高圧電路の短絡保護
解説
写真の機器は高圧カットアウト(PC)です。矢印で示されている白い筒状の部分はヒューズを収納するホルダーであり、その内部にはヒューズリンクが収められています。ヒューズの役割は過大な電流が流れた際に溶断して回路を遮断することであるため、正解は短絡保護となります。
高圧カットアウトの構造とヒューズの役割
高圧カットアウトは、主に高圧受電設備の変圧器(トランス)や進相コンデンサの一次側に設置される開閉器です。矢印が指している部分は、電気的に最も重要な部品であるヒューズを保持するための部品です。
回路に短絡(ショート)などの異常が発生すると、通常では考えられないほど大きな電流が流れます。この過大な電流によってヒューズが自ら溶け落ちることで、下位の機器や電路を破壊から守る役割を担っています。また、この機器は棒状の操作棒(ディスコン棒)を用いて手動で回路を切り離す「開閉器」としての機能も持っています。
選択肢を絞り込むための視点
電気工事士の試験において、高圧機器の役割を判別する際は、その機器が「何から電路を守るためのものか」を整理するのが近道です。
イの地絡保護(地面に電気が漏れることへの対策)には、地絡継電器(GR)や地絡遮断器が必要です。また、ロの過電圧保護(雷などによる電圧上昇への対策)には避雷器(LA)が使われます。ハの高調波抑制には直列リアクトル(SR)が対応します。
これらに対し、高圧カットアウトに内蔵されたヒューズは、あくまで過電流、特に短絡電流を物理的に断ち切るためのものです。写真のように筒状の部品が外側から見える構造は、ヒューズが切れた際にその筒が重力で垂れ下がり、視覚的に故障を知らせる仕組み(ドロップアウト式)になっていることも、この機器を見分ける大きな特徴です。
現場における重要性と教育的意図
高圧受電設備において、短絡事故は火災や設備の損壊につながる極めて危険な事象です。そのため、最も原始的かつ確実な遮断方法である「物理的に溶けて切れる」というヒューズの役割を正しく理解することは、安全管理の基本といえます。
この問題は、単に機器の名称を覚えるだけでなく、その機器が電路のどの異常に対して作動するのかという保護の目的を問うています。実務においても、変圧器の容量に合わせた適切なヒューズの選定や、劣化による交換作業は頻繁に行われます。高圧カットアウトの形状と、それが「短絡から設備を守る最後の砦」であることを結びつけて記憶しておくことが、試験合格とその後の実務の両面で役立ちます。