令和8年度上期 学科試験 問13 解説 鉛蓄電池の電解液
鉛蓄電池の電解液は。
- イ. 水酸化ナトリウム水溶液
- ロ. 水酸化カリウム水溶液
- ハ. 塩化亜鉛水溶液
- ニ. 稀硫酸 ✓ 正答
解説
鉛蓄電池の構成材料を問う問題では、正極・負極・電解液の3要素をセットで覚えるのが最も効率的です。鉛蓄電池の電解液には希硫酸()が用いられます。選択肢にある他の物質は、アルカリ蓄電池や乾電池で使われるものであるため、電池の種類ごとに電解液を整理しておくことが正解への近道です。
鉛蓄電池を構成する3つの要素
鉛蓄電池は、以下の3つの物質の組み合わせで成り立っています。
正極:二酸化鉛() 負極:鉛() 電解液:希硫酸()
この電池の大きな特徴は、充放電を繰り返す過程で電解液である希硫酸の濃度(比重)が変化することです。放電すると希硫酸が消費されて水が生成されるため、電解液の比重が下がります。逆に充電すると比重が上がります。この特性を利用して、比重を測定することで電池の充電状態を把握できるのが鉛蓄電池の運用上の特徴です。
誤解しやすいアルカリ蓄電池との違い
試験で受験生を惑わせるのが、ニッケルカドミウム蓄電池(ニカド電池)などのアルカリ蓄電池との混同です。
アルカリ蓄電池の電解液には、選択肢ロにある水酸化カリウム()水溶液などが使われます。鉛蓄電池は酸性(硫酸)、アルカリ蓄電池はアルカリ性(水酸化カリウム)と、液の性質が正反対であることを意識すると間違えにくくなります。
また、選択肢イの水酸化ナトリウムはアルカリ蓄電池でもあまり一般的ではなく、ハの塩化亜鉛はマンガン乾電池などの電解液として利用されるものです。第一種電気工事士の試験対策としては、鉛蓄電池=希硫酸、アルカリ蓄電池=水酸化カリウムという2パターンの対応関係を確実に暗記しておけば、この種の設問はすべて得点源にできます。
現場で役立つ蓄電池の知識
この問題で問われている知識は、実際の電気設備管理の現場でも重要です。鉛蓄電池は、ビルや工場の非常用予備発電装置の始動用電源や、無停電電源装置(UPS)のバッテリーとして広く普及しています。
点検の際、開放型の鉛蓄電池では電解液の量をチェックし、減っていれば精製水を補充する液補水という作業が発生します。このとき「なぜ硫酸そのものを補充しないのか」という疑問が湧くかもしれませんが、蒸発して減るのは水分だけだからです。また、比重計を使って希硫酸の重さを測ることで、バッテリーの劣化状況を診断することもあります。
近年はメンテナンスフリーの制御弁式鉛蓄電池(シール形)が増えていますが、その内部でも同様に希硫酸が反応に寄与しています。電気工事士として、蓄電池の化学反応の基礎を知っておくことは、点検時の安全確保や異常判断の根拠を持つことにつながります。