令和7年度 上期 第一種 学科試験 (出題例) 問36 解説 ケーブル耐圧試験
公称電圧 6.6 kV の交流電路に使用する ケーブルの絶縁耐力試験を直流電圧で行う 場合の試験電圧[V]の計算式は。
- イ. 6600 × 1.5 × 2
- ロ. 6600 × 1.15 / 1.1 × 1.5 × 2 ✓ 正答
- ハ. 6600 × 2 × 2
- ニ. 6600 × 1.15 / 1.1 × 2 × 2
解説
試験電圧を導き出す計算のステップ
絶縁耐力試験の電圧を求める際は、以下の3段階で計算式を組み立てます。
- 公称電圧から最大使用電圧を求める(公称電圧に1.15/1.1を掛ける)
- 最大使用電圧に対する試験電圧の倍率を掛ける(交流の場合は1.5倍、直流の場合はその2倍)
- 計算式を並べる(6600 × 1.15 / 1.1 × 1.5 × 2)
最大使用電圧という基準の考え方
電気設備の技術基準において、試験電圧の基準となるのは「公称電圧」そのものではなく「最大使用電圧」です。公称電圧(6.6kV)はあくまで系統を識別するための名称であり、実際の運用では電圧変動を考慮し、公称電圧に1.15/1.1を乗じた値を最大使用電圧として扱います。
計算式に含まれる 1.15/1.1 は、「公称電圧に対する許容電圧変動率(公称電圧の115%を最大とし、公称電圧自体が定格電圧の110%相当であること)」を補正するための係数です。まずはこの値を求めて、電路の限界値である最大使用電圧を確定させることが第一歩となります。
交流試験と直流試験の違いを理解する
絶縁耐力試験の規定では、交流で試験を行う場合と直流で試験を行う場合で必要な電圧の倍率が異なります。
交流試験の場合、最大使用電圧に対して1.5倍の電圧を印加します。一方、直流試験を行う場合は、交流試験の2倍の電圧を印加することが求められます。したがって、直流試験の式は「最大使用電圧 × 1.5(交流の基準) × 2(直流の補正)」という構造になります。
なぜ直流の方が高い電圧が必要なのかというと、絶縁体にかかる電界の分布や、経年劣化した絶縁体の破壊特性が交流と直流では異なるためです。直流試験はケーブルの現場耐圧試験として広く採用されていますが、そのぶん高い電圧をかけて安全を確認する設計になっています。
この計算式が現場で持つ意味
この知識は、電気主任技術者や電気工事士が竣工検査や定期点検を行う際に必須となる「絶縁耐力試験」の法的根拠そのものです。
工事が完了した際や、長期間停止していた設備を再投入する際、ケーブルが本当に規定の絶縁性能を維持しているかを確かめる必要があります。この試験を適当な電圧で行うと、絶縁性能が不足している箇所を見逃したり、逆に過度な電圧をかけて健全な絶縁体を損傷させたりするリスクがあります。
試験電圧を計算式で正しく算出できるということは、単に試験に合格するだけでなく、設備を破壊せずに確実に安全性を証明するための「正しい手順」を知っているということと同義です。実務では、この計算結果を基に試験用電源装置の出力設定や、印加時間を決定します。