令和7年度 上期 第一種 学科試験 (出題例) 問8 解説 変圧器のタップ電圧
定格二次電圧が 210 V の配電用変圧器が ある。変圧器の一次タップ電圧が 6 600 V の とき, 二次電圧は 200 V であった。一次タップ 電圧を 6 300 V に変更すると, 二次電圧の 変化は。 ただし, 一次側の供給電圧は変わらない ものとする。
- 10 V 上昇する。 ✓ 正答
- 10 V 降下する。
- 20 V 上昇する。
- 20 V 降下する。
解説
変圧器のタップ切り替えによる二次電圧の変化は、巻数比の考え方に基づき、次の手順で求めることができます。
計算手順:
- 一次電圧 [V]、二次電圧 [V] のとき、タップ電圧(巻数比に関係する電圧)が [V] です。
- タップを [V] に変更したときの二次電圧 を以下の比例式で求めます。 [V]
- 電圧の変化分は [V] となり、約 [V] の上昇となります。
変圧器のタップと電圧の関係
変圧器は、一次側の巻数と二次側の巻数の比(巻数比)によって電圧を変成します。この巻数比を意図的に調整するための機能が「タップ」です。
タップ切り替えの仕組みは、一次コイルの巻き数を変えることで実現します。タップ電圧を低く設定するということは、一次側の巻き数を少なくすることを意味します。巻数比(一次巻数 / 二次巻数)が小さくなれば、同じ一次電圧が印加された場合、二次側に出てくる電圧は相対的に高くなります。したがって、タップ電圧を下げることは、二次電圧を上昇させる操作であると理解してください。
電圧の変化を導く思考のステップ
この問題を解く際は、電圧と巻数比の比例関係を整理することが重要です。
まず、問題文にある「一次タップ電圧」と「二次電圧」の関係を という反比例の関係として捉えます。タップ電圧を 、二次電圧を とすると、 は一定という関係が成り立ちます。
次に、具体的な数値を入れて計算します。タップを [V] から [V] へ変更したということは、分母が小さくなるため、結果として二次電圧 は大きくなるはずだと予測を立てます。この予測があるだけで、選択肢の「上昇」「降下」の判断で迷うことがなくなります。
最後に、計算式を立てます。「元の二次電圧」に「タップ比の逆数」を掛けるという操作を行います。このとき、計算結果が約 [V] 上昇するという結果になるため、自信を持って正解を選択できます。
配電現場における電圧調整の重要性
この知識は、実際の電気主任技術者や電気工事士が現場で行う「電圧降下対策」に直結しています。
電力会社から供給される高圧受電設備では、負荷の増加や配電線の電圧降下によって、受電端の電圧が適正範囲(例えば [V] 近辺)から外れることがあります。このような場合、変圧器のタップを切り替えて二次側電圧を補正します。
例えば、受電した電圧が低い場合はタップを低圧側に切り替えて電圧を上げ、逆に電圧が高い場合はタップを切り替えて電圧を下げます。このように、変圧器のタップは「電気の品質」を維持するための重要な調整弁としての役割を果たしています。試験問題としては単純な計算に見えますが、実務においては設備を安定稼働させるための不可欠な調整作業の一部なのです。